石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。石川県では加賀麩が有名です。中でも車麩は家庭でもよく使われます。金沢でもよく作られる家庭料理の「車麩の卵とじ」をご紹介します。アレンジとして、ご飯の上に卵とじを乗せた「車麩の卵とじ丼」も作ってみます。

金沢は加賀麩が有名!

金沢は京都と並んで、生麩や飾り麩の産地として有名です。加賀麩は、藩政期から保存食としてよく食べられてきました。現在でも金沢の食文化として、加賀麩は人々に愛されています。

生麩は、治部煮などの加賀料理にも使われますし、お菓子に使われたりもします。写真は乾燥した車麩ですが、スーパーで手軽に買い求めることができます。麩の原料であるグルテンは、植物性たんぱく質成分なので、栄養価も高く、低脂肪のヘルシーな食材と言えます。

さて、2月2日は麩の日です。数字の読み方である「ひ、ふ、み」の「ふ(2)」と「麩(ふ)」の語呂合わせから、全国の特徴のある麩の食べ方などをPRするために、協同組合全国製麩工業会が制定しました。毎月2日を「麩の日」として活動している地域や業者もいます。

麩は煮物や汁物、炒め物などいろいろな使い道があります。今回は加賀麩の代表的な商品である車麩を使って、おかずの一品になる「車麩の卵とじ」を作ってみようと思い立ちました。金沢でもよく作られる家庭料理です。

アレンジとして、温かいご飯の上に車麩の卵とじを乗せて、卵とじ丼にしても食べやすいのではないかと考えました。それでは「車麩の卵とじ」のレシピを紹介します。

車麩の卵とじのレシピ

<材料・2人分>
・車麩 25g (中くらいのもの 6個)
・人参 1/3本
・玉ねぎ 1/4本
・卵 2個
・小口ネギ 10g
・焼き海苔 少々

・水 400㏄
・顆粒だしの素 小さじ1/4
・醤油 大さじ1と1/2
・砂糖 大さじ1と1/2
・酒 大さじ1

<作り方>
1. 車麩は軟らかくなるまで、水につけて戻します。

2. 人参は厚さ2mmくらいの短冊切りに、玉ねぎは8mmくらいの幅で切ります。小口ネギも細かく切っておきましょう。

3. 車麩は水気を手で絞って、1/2に切ります。

4. 水、顆粒だしの素、醤油、砂糖、酒を鍋に入れて煮立たせます。

5. 人参と玉ねぎを鍋に入れて、中火で3分ほど煮ます。

6. さらに車麩も入れて、10分ほど煮ます。ここで麩に味をしっかりしみ込ませるのがポイントです。

7. 卵を溶いて、鍋に回しかけます。

8. 卵が半熟状になったら、小口ネギを振りかけます。火を止めて蓋をして3分ほど蒸したら出来上がりです。

アツアツでも冷えてもおいしい車麩の卵とじ

車麩の卵とじをお皿によそってみます。人参、卵、小口ネギの色が彩り豊かな一品に仕上がりました。一口食べてみると、車麩からだし汁がしみ出て、甘みが口に広がります。

車麩のモチモチとした食感が堪りません。あっさりとしていて、いくらでも食べられそうです。だし汁には人参や玉ねぎの甘みが出ていて、野菜を入れたのは正解だと感じました。

小口ネギは色も綺麗ですが、味のアクセントにもなっています。車麩の卵とじは優しい味で、子供からお年寄りまであらゆる年代の人に好まれそうな味に仕上がりました。

翌日、冷蔵庫で冷やしたものを食べたのですが、冷たい車麩の卵とじも口当たりが良くておいしく感じました。冷えてもおいしいので、お弁当のおかずにも良さそうですね。

車麩の卵とじ丼にアレンジ!

アツアツの白いご飯の上に車麩の卵とじ丼を乗せて、刻み海苔を散らしてみました。煮汁も少しかけると良いかもしれません。

卵がついた車麩と白いご飯を一緒に食べると、非常に相性が良いことに気が付きました。海苔を散らしてあるので、磯の香りもふんわりと伝わってきます。親子丼のような感じになり、夕食としても向いていますね。

麩は乾物なので日持ちもします。値段の安い時に買っておいて、「今日のおかずは何にしようかな?」と迷った時に、サッと作れる料理です。ご飯もあれば丼物になりますし、麩は便利な食材だと感じました。

材料は、他の好きな野菜と組み合わせても合いそうです。小口ネギの代わりに三つ葉を使ってもいいし、茹でたほうれん草や小松菜を加えても緑が映えます。その時に家にある野菜で作れそうな料理です。

2月2日の【麩の日】には、車麩の卵とじを作ってみましょう!

加賀麩は石川県のお土産品としてもよく売られていて、通信販売でも買い求めることができます。車麩の他にも、お湯を注ぐとお吸い物や味噌汁になる麩もありますし、色や形が綺麗な麩もあります。

皆さんも、2月2日の【麩の日】には、ぜひ車麩の卵とじを作ってみてください。