こんにちは!日本酒学講師の大越です。早いもので今年もあとわずか、年末年始のお仕度にお忙しい日々と思います。そして寒さが増すこれからが日本酒の製造も佳境に入ります!そして全国の蔵から新年にはおいしい「しぼりたて新酒」が出荷されます。家族や仲間と過ごすお正月は特に日本酒を楽しまれる機会も多くなると思いますので、今回はラベルに記載されている日本酒の種類についてお話しします。まずは特定名称酒と呼ばれる基本の3つを覚えましょう!その3つとは・・・?「純米酒」「本醸造酒」「吟醸酒」です!

「純米酒」は、米と米麹と水だけで造られた旨みのある日本酒です

「純米酒」の文字がラベルに書かれていたら、純粋にお米と米麹と仕込み水だけを原材料に造る日本酒の基本のお酒です。原材料となる酒米の特長を生かしたお米の風味を感じる“旨みある味わい”に仕上がります。また仕込み水が軟水の場合は滑らかな口当たりになり、硬水の場合はしっかりとした味わいに感じます。

千葉県の酒造好適米「総の舞」100%でつくられた純米酒

原料となる酒米の種類によっても味わいはさまざまですが、純粋な原材料のみで醸される「純米酒」はお米の旨みを感じながら楽しめます。お薦めの飲用温度帯は、常温やぬる燗です。冷やしすぎてしまうとせっかくの旨みを感じにくくなります。ぬる燗にするとより旨みを増した味わいに変化します。温かいお料理との相性も抜群です。

ラベルに「特別純米酒」と表示されていたら、純米酒よりもより精米度が高く雑味の少ない味わいになります。

「本醸造酒」は、ほんの少しだけ醸造アルコールを添加したさっぱり感のある日本酒です

「本醸造」の文字がラベルにあったら、先の「純米酒」にほんの少しだけ醸造アルコールを加えて“さっぱりとした口当たり”に仕上げた日本酒になります。純米酒は重厚感のある味わいですが、本醸造酒は少しのアルコール添加によって口当たりが軽くなりますので、さっぱりとしたお料理に合わせたり、最初の一杯や、軽く飲みたいときにもお薦めです。

飲用温度帯は、そのまま常温でもやや熱めのお燗でもよいですし、少し冷やしていただくとより爽快感を感じる味わいになります。「特別本醸造酒」と記載されていたら、純米酒同様により精米されたもので雑味が少なくなります。

「本醸造・純米・吟醸」に特別や大の字、もしくは組み合わせによって成る8つの特定名称酒

「吟醸酒」は、特別な造りで醸す華やかな香りが特徴の日本酒です

「吟醸」の文字がラベルにあったら、より吟味して低温でゆっくりと時間をかけて発酵させ、“特有の香りを醸し出す特別な醸造方法で造られた香り高い”日本酒です。フルーティで華やかな香りを特徴とし、なめらかな口当たりは実に優雅な味わいです。

もろみを加圧しないで吊るして搾る袋吊りの大吟醸酒

飲用温度はやや冷やしてもよいですし、常温にすると馥郁(ふくいく)とした味わいも楽しめます。「大吟醸」と書かれたお酒は、玄米のお米を半分以下にまで磨いて雑味を無くしたキレイな味わいになります。さらに「純米」と重なり「純米吟醸」や「純米大吟醸」と書かれているものは、純米造りでなおかつ吟醸または大吟醸造りをしていますよ、という意味になります。

大吟醸酒は玄米から半分以上精米して造られます

ぜひ新年を祝う日本酒は、これらの「特定名称酒」でそれぞれの味わいを楽しんでみてはいかがでしょう。飲用温度を変えて味わいの変化を楽しめるのも日本酒の魅力のひとつです。

新しい年も皆さまと素敵な日本酒の出会いがたくさんありますように。