出張や旅行に出かけると、できる限りその土地の名物麺類を食べるようにしている調味料研究家の松本葉子です。
そして、地元京都で最も有名な麺というと、かけそばの上ににしんの甘露煮をのせた「にしんそば」だと思いますが、これ、お店で食べると結構高いので私は家で作ることがほとんどです。
京都やその周辺地域では「年越しそばはにしんそば」という人が多いようで、我が家も除夜の鐘をききながらにしんそばを食べます。そんな京都風のにしんそば、作ってみませんか?

まずはにしんの甘露煮を作ってみよう

海のない京都で昔からよく使われていたのは身欠きにしん。カチカチのミイラみたいなやつです。これを戻して炊いて、「にしん茄子」や、にしんそば用の甘露煮を作ります。

けれど、身欠きにしんはちょっと扱いが面倒なので、最近私は半干しタイプの「ソフトにしん」を使うことが多いです。

ソフトにしんはこんな感じで売ってて大体1枚が60~100円程度。にしんそば用の甘露煮を作るなら、比較的大きめのものを選んだ方が見栄えがいいです。

ソフトにしんは戻さなくても使えますが、もし身欠きにしんを使うのなら、まず米のとぎ汁に2~3日浸けて戻してから使ってください。

にしん甘露煮の作り方(甘露煮2枚分)

<材料> 
ソフトにしん 2枚
番茶かほうじ茶(抽出液) 2~3カップ

日本酒 1/2カップ
みりん 大さじ2
三温糖 大さじ2 *きび砂糖や黒砂糖、ざらめでもOK
醤油  大さじ3
水 適宜

<作り方>

  1. (余裕があれば米のとぎ汁に1時間ほど浸けておくとクセが少なくなる)
    にしんを水洗いして、エラと尾の先の部分を切り落とし、うろこ、背びれ、腹びれなども取り除く。
    一見うろこはないように見えるが、薄白く光っているところはうろこがついているので包丁でこそげとるようにして取り除くこと。
  2. 深さのあるフライパンなどににしんを並べ、熱い番茶をかぶるくらい加えて中火で20~30分煮る。アクや脂は簡単に取り除いておく(そんなにきれいにとらなくても大丈夫)。
  3. にしんを取り出し、崩さないように注意しながらぬるま湯で洗う。この時、太い骨が気になるようなら取り除いておく。
  4. 煮汁を捨てて洗ったフライパンに3のにしんを戻し、日本酒と水を加えてひたひたぐらいの分量にして強火にかける。煮立ったら、砂糖、みりん、醤油を3~5分間隔で順番に加えていく。
  5. 落としぶた(オーブンペーパーやアルミホイルなどで良い)をして、弱火で20分以上煮汁がなくなるまで煮る。途中で煮汁を表面にかけると艶良く仕上がる。
  6. 崩さないように注意して取り出し、皿などに並べて冷ます。

意外と簡単ですし、自分好みの味に仕上げられるのがなにより。味付けはお好みで変えてくださいね。

煮上がった甘露煮は、このままおかずや酒肴にもなりますし、野菜の煮物に加えてもよいでしょう。冷蔵で4~5日程度は日持ちし、冷凍もできますよ。

京都のにしんそばは盛り付けにコツあり?!

にしんの甘露煮を作るのが面倒だという方は、市販の甘露煮を使いましょう。関西のスーパーだと常時何種類か置いてあって大きさや価格で選ぶことができますが、ほかの地方でも年末にはおせちの昆布巻き用として販売されたりするので手に入れやすいかもしれません。

あるいは、京都のにしんそばの有名店が販売している甘露煮を使えば、名店の味が再現できるかも。

だしは、かつおだけでなく昆布も使ってとり、薄味に仕立てれば京都風ですが、まぁこのあたりは好みで。でも昆布とにしんは味の相性が良いですし、またにしん甘露煮の色合いから言っても薄色仕立てにした方が見た目はいいと思います。

そばは、ゆでそばでも乾麺でも。あるいは蕎麦打ちから始める(!)のもお好みで。

ただできれば用意して欲しいのは青ねぎです。九条ねぎがあれば文句なしですが、それ以外のものでも良いので青ねぎを使ってみてください。

では、材料が用意できたら、京都風のにしんそばを作ってみましょう。その前に、トップの画像をもう一度みてください。「なんかヘンな盛り付け方」と思った方もいらっしゃるかも?

そうなんです。京都でにしんそばを頼むと、こんな風ににしんの上にそばがかけてあることが多いのです。
私自身はそれが普通だと思っていましたが、大学時代、友人に「どうしてかけてあるの?」と聞かれて答えに詰まり、祖母に尋ねたところ「ぜぇんぶみえたら、えずくろしいやろ」と。えずくろしい=度を超してて暑苦しくて気持悪い みたいな意味ですが、じゃあそんなもんそばにのせるのかって話ですよね…。

祖父に尋ねたところ「にしんが冷めたらおいしないさかいにな」って。でも上に乗ってるそばは冷めるやん。そばの間ににしんをいれることで味がそばつゆに染み出すとかいう話もあるようですが、結局のところよくわかりません。そのあたりもまた京都らしいですが。

というわけで、京都風?の作り方はこんな感じ。
ちなみに、ねぎは別添えにしてあって客が好みで入れるという店もあります。切り方も粗めのところやかなり細かく刻んでいるところなどいろいろ。このあたりもお好みでどうぞ。

にしんそばは、おいしくて栄養もとれるスグレモノ

麺類は手軽ですが、炭水化物主体。でもにしんそばなら、にしんが入ることでたんぱく質も脂質もとれ、しかも骨ごと使っているのでカルシウムまで摂れるんです。ここに青ねぎを添えればβ-カロテンやビタミンCも。すぐれものでしょう?

食べる前には、京七味をぱらり。おいしいですよ~。
年越しそばはもちろん、今年の冬は京風のにしんそばでほっこり温かく過ごしてみませんか。