ステファン・ダントン氏(日本茶専門店、おちゃらか代表)は闘士だ。05年に吉祥寺でのろしを上げた“日本茶に新たな光を当てる”闘いは現在、日本橋の地へと舞台を移した。日本茶の入口を広げるため提案する“日本茶をベースにしたオリジナルのフレーバー茶”などの発想を武器に、地方自治体との共同事業や茶産地との共創など、お茶の魅力や価値を高める闘いは続く。「何よりも大事なことはお客さまの目線に立つこととお茶が持つストーリー性」と語るダントン氏の目には日本茶に賭ける熱い炎が灯り続ける。

コラボで応援 毎日楽しく飲めるお茶に

日本橋のコレド室町内の店舗でダントン氏は「他社との違いはお客さまのために取り組む情熱の熱さだ。そこから闘いの幕が上がった」と語りだす。

「大切なことはリピーターを増やし、強固なファンベースを作ること。ブランドを作るのは提供する側ではなく、それを体験したお客さまが作り出すものだからだ。開業当時の9品から50品強まで育成できたのは『おちゃらか』はどんな冒険を提供してくれるのか、という期待に応え続けることが大きなうずとなり、ファンの気持ちを獲得するに至ったことが何よりうれしいことだ」と語る。

ステファン・ダントン氏。彼の情熱が注がれた作品

「現在はコラボレーションの時代だと思う。競合であっても、立場や業種による互いの強みを生かし、日本茶の魅力や価値を高めるために連携することが茶業界全体への貢献につながると思っているが、現状はほぼなく残念に思っている。日本茶を取り巻く現状をポジティブなものにすべく、茶業界との共創や応援を望みたい。これからはお茶の製法に加え『販売』方法に注力していくべきだ。テーブルワインのようにおいしく毎日楽しめるお茶を提供することでお茶を楽しむ入口が広がるからだ」と語るダントン氏は、現在、コラボレーションに注力する。

好みのお茶の生産者へ直接コンタクトも

その一例が長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町の茶生産者6人と取り組む「SONOGI」だ。同町に住む3~4代目となる6人の若い世代の生産者が栽培したお茶を統一パッケージにナンバリングをした「SIX SENSES」やこのお茶にビワやイチゴなどのフレーバーを加え、ダントン氏が作り上げた「SIX COLORS」で展開している。

コラボレーションの結晶「SONOGI」ブランド

パッケージ記載の情報量を統一し、18gと少量でトライアルを訴求、「おちゃらか」で購入したユーザーが好みのお茶を栽培する生産者へ直接コンタクトができる仕組みを作り上げ、「これが本当のコラボレーションだ」と意気込む。今後は熊本県の水俣のお茶を訴求するプロジェクトなども積極的に取り組む意向だ。

05年以前はダントン氏が提案した日本茶をワイングラスで楽しむというシーンはなかったが、現在は当たり前の光景になった。ダントン氏と茶業界の連携が進めば、新たなお茶の進むべき道が見えるのかもしれない。リーフにこだわり、生産者への貢献も目指すダントン氏の次なる闘いが始まっている。

◇日本食糧新聞の2017年12月18日号の記事を転載しました。