たった4粒の種から復活をとげた奇跡のナスがあるってご存知ですか? その食感と味わいはクセになるほど美味しいのに、なぜ、絶滅寸前になってしまったのでしょうか。今回はそんな宮崎県の伝統野菜「佐土原ナス」にスポットを当ててみました。

絶滅寸前の危機から奇跡の復活をとげたナス

すらっとしたフォルム、美しい色のナス。しかも、味わいはほんのり甘さがあり、トロ〜リ、ふわっと、一度食べたらヤミツキになるほど美味しいナス。

なのに、このナス、実は絶滅寸前だったんです。こんなに美しいのに、美味しいのに、なぜ?と思う方もいるかと思います。

佐土原ナスは、江戸時代から宮崎県の佐土原町を中心に栽培。そのなめらかな口当たりと品のいい甘さで地元民に愛されていたそうです。

しかし、戦後には誰も作らなかったといわれています。それは何故なんでしょう。理由はいくつかあげられています。

・病気に弱く栽培が難しかった。

・当時は、色が濃く、見栄えがいいお野菜が好まれていたので、売れなくなってしまった。

そんな背景から市場から姿を消してしまったと言われています。

伝統野菜とは

佐土原ナスは「伝統野菜」とされていますが、「伝統野菜」とはいったいどんな野菜なのでしょうか。

各地で古くから栽培、利用されてきた野菜の在来品種とされているそうです。採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたものだそうです。

例えば私の住む福岡の伝統野菜に「芥屋かぶ」という紫色の綺麗な色のカブがあります。

芥屋かぶは糸島市志摩芥屋地域以外では育たないと言われているそうです。他の地域の畑に持って行くと1年は紫色を付けるものの、2年目以降は芥屋かぶの特徴である見事な赤紫色が出ないそうです。

本当に不思議ですが、その土地の土でなくては出来ない野菜といわれているそうです。

佐土原ナスも宮崎県で江戸時代から愛されてきた野菜でした。ニーズに合わず、生産されなくなって絶滅の危機を迎えそうだった時に、あの味わい・美味しさをもう一度!と、おいしさでは昔から評価されていた佐土原ナスが復活をとげます。

残っていた種を植えてみたところ、育ったのはたった4粒だったそうです。たった4粒から美味しさの故に復活した奇跡のナス。スーパーなどでは見かけることはあまりないですが、通販などでは購入ができるみたいですよ。

奇跡のナスの味わいは?

みやざきブランドアンバサダーとして活動させていただいていることもあり、この佐土原ナスの味わいを体験できました。佐土原ナスの美味しさの特徴は、食感はとても瑞々しく、口のなかでとろけるような柔らかさ。

ふわっと広がる特有の上品なナスの甘さと心地よい舌触り。生食でもいただけますが、あげたり、焼いたりするのが良いそうです。

フワっトロ〜っ 【佐土原ナスのガーリックバターステーキ】

佐土原ナスの甘く柔らかいフワっとトロ〜っな食感。なんとも言えない口溶け感はヤミツキになりました! 見かけたら一度はお口にして頂きたいお野菜です。

レシピはこちら。伝統野菜|とろフワ食感|【佐土原ナスのガーリックバターステーキ】

その土地でしか出来ない伝統野菜。日本にはたくさんの伝統野菜があるそうです。中には絶滅したものもあるといいます。もし、どこかでみかけたら、その背景や時代をたどってみてもいいかもしれません。