イタリア・ローマ在住のたべぷろ編集部員・鈴木ココです。今回は日本人にとって身近な秋の果物、柿のイタリア流食べ方についてご紹介します。日本の秋の風物詩として古くから親しまれていた柿が、海を渡ってヨーロッパへたどり着いたのは18世紀の後半。もともと観葉植物として珍重されていた柿の木でしたが、19世紀になるとイタリアでも食用としての栽培がスタート。秋の味覚、柿のおいしさは万国共通です。

カキはヨーロッパの共通語!イタリア語でも柿はカキ

イタリアで柿のことはCACHI、フランスでもKAKI、スペイン、ポルトガルでもCAQUI。驚くことに、日本語の「カキ」が、ヨーロッパでも共通語として通用します。ところが柿と言っても、その食べ方は日本とは大違いです。

「カキは完熟しないと、果肉が固くて渋くて食べられない。収穫後、実が柔らかくゼラチン状になって甘ったるくなるまで追熟させる必要がある」と食材辞典に記されているイタリアのカキ。

一方、まだ固くて熟していないように見えても、収穫後すぐに食べれる種類、つまり日本で言う柿は、追熟するカキと区別するために、カキヴァニリア(バニラの香りの柿)、ロト(ハス)、またはカキメーラ(リンゴのような柿の意)と呼ばれます。

イタリアのカキはとことん熟して甘くする

筆者は初めてイタリアのカキを見て、驚いたものです。無造作に並べられている他の果物と違ってプラスチックの容器に入れられたカキは、熟れすぎて食べられないのではないかと思うように超熟したものだったからです。

イタリアの柿の食べ方は、今にも皮が破れそうなくらいに熟れたカキを丁寧に水洗いして、ヘタをとります。そして縦にすっぱりとナイフで2つに切り分け、中から出てくるとろりとした実を、スプーンですくっていただきます。

噛む必要がないほど柔らかく熟れきった実と、種の周りの少しコリコリした部分との食感のコントラストもいいものです。

甘いものが大好きなイタリア人は、甘さが控えめな日本風の柿よりも、食べごろを逃したかと思うようなトロトロに柔らかく甘いカキが大好物なのです。熟することによって糖度が最大限に増した甘いカキは、まさに自然が造り出す天然のデザート。スイーツを食べたような満足感が得られます。

このほか、柿のジャムもこの時期の定番です。柿がたくさんある時には、甘い柿にさらにたっぷりお砂糖を加えてコトコトゆっくり煮込みます。少しレモン汁やリキュールを加えると甘さにアクセントが付いて、さらに美味しくなります。

栄養満点な超熟したカキで風邪予防!

しかも、昔から「柿が赤くなれば医者が青くなる」といわれるほど、栄養が豊富な柿。ビタミンC、ビタミンB群、ベータカロチン、カリウムなどのミネラル類が豊富で、カルシウムまで含まれています。

特に、ビタミンCは柿を1個食べると体に必要な1日の必要量を満たすことができるほど含有量が高く、果物の中ではレモンに次ぐ量なのです。冬が近づいてくるこの季節、風邪の予防に免疫力の強化に積極的に食べたいフルーツですね。また、柿は利尿効果もあるので、夏の疲れた体をデトックスするにも最適です。

また、抗酸化作用を持つタンニンも豊富に含まれています。柿の渋味の原因タンニンはアンチエイジング効果があるとして注目の栄養素。柿のタンニンは水溶性なので、食べると唾液に溶けて渋味を感じますが、熟すにつれてタンニンが溶けにくくなるので渋みを感じなくなります。イタリア流に熟した柿は、渋みがなくてもちゃんとタンニンが含まれています。

これらの栄養素は、主に皮の部分に多く含まれているので、イタリア式に皮のぎりぎりまでスプーンですくってこそげ食べると、さらに栄養効果がアップしそうです。

この秋、甘いスイーツの代わりにイタリア式柿の食べ方をして、美味しく元気に寒い季節に備えましょう!