ガチョウというと世界三大珍味の一つフォアグラが思い出されますが、その他の部分はどのようにして食べるのでしょう。
イタリアのMORTARAはガチョウの産地で、いろいろな食べ方をします。今回は毎年9月最後の日曜に開かれるお祭りSAGRA DEL SALAME D’OCA に皆さんをご案内しましょう。

味に定評のあるTRATTORIA TRENTOへ!

祭りの日には街のレストランやBAR、屋台、仮設テントでいろんな料理が楽しめます。味で定評のあるTRATTORIA TRENTOで、クラウディオというオーナーシェフが調理したガチョウのフルコースをご紹介します。(素材の肉はすべてガチョウです)

ガチョウ胸肉・ルコラとグレープフルーツ添え

ガチョウのハム類盛り合わせ MORTADELLA SALAME COTTO SALAME CRUDO PETTO D’OCA CICCIOLI

パイ生地に詰めたレバー料理

サラミ用ペーストで味付けしたリゾット

ガチョウひき肉入りラビオリ

ガチョウとポルチーニのオーブン焼き


SFORZA家がミラノを支配していた当時、イスラム教徒の入植が許可されました。豚肉を食べないイスラム教徒にとって、ガチョウは大切な食糧となりました。しかし、サラミ類は豚肉が入った方が美味しいということで、現在は豚肉がミックスされています。

前菜を除く他の品は「おかわりはいかがですか」と2度回ってきます。とても食べきれる量ではありません。明日からダイエットが必要な人がかなりいました。

マスカットワインかスプマンテ、カフェが出たときには、食事開始から2時間が経過していました。
デザートは先にアイスクリーム、そしてティラミスが出ました。ティラミスの上にもガチョウが泳いでいましたよ。


ガチョウは上手に料理しないとにおいが気になるのですが、この店では安心して食べられます。このTRATTORIAは定食メニューに地方料理があり、味・量・値段の点で皆さんにも必ずご満足いただけると思います。ちなみにフルコースは35ユーロでした。

なぜガチョウを飼って食べるようになった?

ガチョウを使ったイタリア料理は知っている人は、かなり少ないと思います。また、なぜこの土地だけガチョウが飼われているかも不思議な点ですよね。

野生のガチョウは渡り鳥で、ナイルからヨーロッパに飛んできていたそうです。その一部が、水が豊富なこの地に定着したといいます。

1200年代まで、ガチョウには食料としての価値が認められていませんでした。1400年に入り、肉・油・羽毛が多用途に使える家畜としてガチョウの飼育が始まりました。それでもマイナーな食品で、需要が大きく伸びることはありませんでした。

1967年にある飼育業者が、ガチョウの宣伝のためにSalame d’ocaの祭りを提案。それがSAGRA DEL SALAME D’OCAの始まりです。今では3万人が訪れる大きな祭りになりました。

ところで、ガチョウがいるのですからフォアグラはあるのでしょうか? イタリアではFEGATO D’OCAがそれにあたります。

ヨーロッパでは2007年に、ガチョウの肝臓を肥大させる飼育方法が禁止されました。もともとイタリアではその方法は使われておらず、そのためFEGATO D’OCAの製品はフォアグラより小さいです。

美味しい食材は個人商店や朝市で買いましょう

この祭りの日は、特に食べ物関係の屋台がたくさん出ます。街の食品専門店・総菜屋には、その店で生産した食品が売られていることがあります。わずか数十年前までは当たり前の風景だったのですが、食品衛生法が厳しくなったため、消滅の一歩手前まで来ています。屠殺場以外で動物の処理が出来なくなったのが一番の要因です。

ハム・チーズ屋
キノコ屋
ヌガー専門店
前回のコラムにも登場したCICCIOLI。普通はこんな形です

スーパーマーケットで売られているハム・チーズより美味しい品が欲しい場合は、個人商店や朝市がお勧めです。店の人と知り合いになれば、間違いなく美味しいものが買えますし、レシピも教えてもらえます。

ガチョウのぬいぐるみ

祭りのメインイベント!中世の衣装をまとった時代行列

いきなり囚人が出てきてごめんなさい。中世のいろいろな職業の衣装をまとった祭りのメインイベント「パレード」です。10年ほど前は、馬に乗った騎士や馬車も出ていました。