「豆」って栄養はあるし、保存は効くし、ほんとうにスグレモノだなぁと常々感じている調味料研究家・松本葉子です。さて9月6日は、「く」「ろ(く)」で、黒豆の日。黒豆製品の会社、菊池食品工業によって制定された記念日です。
黒豆は大豆の一種で黒大豆とも呼ばれます。一般的にはおせち料理に用いられることが多いのですが、京都では普段からさまざまな食べ方で黒豆ならではの風味を楽しみます。その中のいくつかの味わい方をご紹介しましょう。

定番はやはり煮豆。粒よりの丹波産を使うのがおすすめ

黒豆といえば、なんといっても有名なのは「丹波黒」「和知黒」など、大粒で味の優れた丹波産。こちらの画像は「丹波黒」を煮たもの。1粒でも満足感のある大粒です。

このように柔らかく艶やかに煮ておけば和菓子のようにも味わえますし、寒天やアイスクリームと合わせるのもおいしいですよ。

枝豆も黒豆を選べばとびきりのおいしさが楽しめる

黒豆にも枝豆があることをご存じでしょうか?
京都の料理店では「黒豆」と明記した枝豆がメニューに載ることも多く、「紫ずきん」という黒豆の枝豆は京のブランド産品にも指定されていて人気です。

黒豆の枝豆が出回るのは一般の枝豆よりも遅い9月頃から。店頭に並ぶ期間は短いものの、スーパーなどでも手に入ります。

写真は、丹波産より早く店頭に並ぶ丹後産の黒豆の枝豆。見かけは普通の枝豆と変わりません。でも、さやをむいてみると薄皮部分がほんのり黒みがかっています。

これはアントシアニン系の色素によるもので、種皮に含まれるこの色素によって、完熟するとおなじみの黒い豆になるのですね。

正直なところ、色は普通の枝豆のほうがキレイです。けれど黒豆の枝豆は大粒なものが多くて味が濃厚。食べてみればその実力がわかるでしょう。

ぜひ食べてみて欲しいのが「黒豆のきな粉」

和菓子の伝統がある京都では、きな粉もよく食しますが、旨みの深い黒豆のきな粉はおすすめです。

例えば、黒豆専門店が直営する「黒豆茶庵 北尾」では、わらび餅など、きな粉を添えて味わうメニューを注文すると、自分できな粉を作ることができます。

そのために客席のテーブルに鎮座しているのがこれ。石臼です!

煎った黒豆を数粒ずつ上の穴から落として臼を回せばどんどん粉に。これを茶こしで受けて、刷毛で豆の皮(食べられるけどちょっと硬い)を残すように漉せば、ふんわりきなこの完成。挽き立ての味は格別ですよ。

この黒豆のきな粉は、石臼がなくても、黒豆をしっかり煎ってからフードプロセッサーやすり鉢で粉にしてふるいにかければ家庭でも作ることができるので、是非チャレンジしてみてください。

京都で黒豆を手に入れて、おいしさを堪能してみませんか?

京都には北尾商事のように黒豆のエキスパート的な店もありますし、農産物直売所や街中の乾物店でもクオリティの高い黒豆や黒豆の加工品が手に入ります。

京都を訪れた時には黒豆をおみやげにするのもおすすめですよ。

秋に収穫されるその年の新黒豆が出回るのは12月上旬頃からですが、それ以外の時期も質の高い豆ならおいしく味わえます。