イタリア在住フードライター鈴木奈保子です。今回、イタリアからご紹介するのは日本でもすっかりおなじみになったジェラート。毎年8月27日は、日本ジェラート協会が定めた「ジェラートの日」です。ジェラートを食べる可愛らしいオードリー・ヘップバーンの姿が印象的な映画「ローマの休日」がアメリカで初公開された日にちなんでいます。この日はジェラートの割引サービスなどをはじめ、日本各地で楽しいイベントが催されます。ここでは、本場イタリアのジェラートの食べ方をご紹介します。

大人も子供も大好き!な国民食

イタリアジェラート協会の調査によると、イタリア国民の95%がジェラート好き。日本でアイスクリームといえば子供や若い女性の食べ物というイメージがありますが、イタリアでは性別や年齢に関係なく、イタリア人全体に広く愛されている国民食なのです。たしかにイタリアでは、男性が1人でジェラートを食べていても普通です。

しかも、ジェラートが一番おいしい夏の間には、週に最低1回は食べるという回答が半数以上。週に4、5回食べるという人が3割となっています。確かに、夏にイタリア人と会うと、お茶の代わりに、おやつの代わりに、食後のデザートにと、必ずと言っていいほどジェラート屋へ行くことになります。筆者も最低、週に1回はジェラートを食べます。

イタリアでは、どこの街にも職人の作るジェラート屋があって、夏だけではなく、1年を通してジェラートを楽しむ人たちで賑わっています。歩きながら気軽に楽しめるのも、人気の秘密です。

ジェラートとアイスクリームの違いって何?

こんなに人気のあるイタリアのジェラート、アイスクリームとはどう違うかご存知ですか?

ジェラートの原料は、いたってシンプル。アイスクリームと同じで、牛乳、卵、砂糖などをベースに、フルーツやカカオ、ナッツ類などをアレンジした豊富なフレーバーが揃います。

職人のジェラート屋では、新鮮な材料を使い、作った場所で販売することが規定されているので、フレッシュな素材の味を楽しめます。また、有機栽培の素材にこだわったジェラート屋もよく見かけます。

アイスクリームとの大きな違いは、脂肪分の量です。日本のアイスクリームは「乳および乳製品の成分規格などに関する省令」で乳脂肪分が8%以上と規定されていますが、イタリアのジェラートは6~10%と低脂肪なので、意外とさっぱりとした味わいです。

製造過程で材料を冷やしながら空気と一緒にかきまぜますが、その時の空気の含有量が最大35%と少ないのも特長。空気含有量の少なさがなめらかな舌触り、しっかりとしたコクにつながり、ジェラートのおいしさを生み出します。

ジェラートはお年寄りや子供の理想的な夏の“ランチ”

イタリアに住んで驚いたのは、暑くて食べるのがおっくうなときのランチとして、ジェラートが推奨されていることです。

特にお年寄りや小さな子供にとって、栄養がたっぷりで消化がいいジェラートは理想的な“ランチ”だと言われます。ジェラートは、スイーツというだけでなく食事がわりの食べ方もできるのです。

乳製品が60%以上と規定されているジェラートには、豊富なカルシウムだけではなく、疲労回復に欠かせないビタミンA、ビタミンB群も含まれます。

疲れを取ることで有名なクエン酸を含むレモンなどの柑橘類のフレーバーを選ぶと、さらに栄養度はアップします。季節のフルーツのフレーバーはカロリーも低めなので、特におすすめです。

チョコレートやピスタチオ、ヘーゼルナッツなどのジェラートにも、大切な栄養素がたっぷり含まれています。多少カロリーがアップしますが、ヘルシーなことに変わりはありません。食欲がないときは、好きなフレーバーを選ぶことが大切です。

甘くて、冷たくて気分もリフレッシュしてくれるジェラート。もし夏バテで食欲がないのなら、今年のジェラートの日、イタリア風に食事代わりにジェラートを食べてみてはいかがでしょうか?