知っておきたい和食の正しい食べ方とマナー
これからの時代、我が子を国際人として立派に育てたいと考えている親御さんも多いのではないでしょうか。そのためには外国の言語や文化を知るだけでなく、生まれ育った日本の文化について知っておくことも重要です。例えば、見た目が美しくヘルシーな和食は世界的にも人気があります。
しかし、和食のマナーについては意外と知られていません。無形文化遺産にも登録された日本が誇る和食には正しいマナーがあり、知らないと恥をかいてしまうこともあります。美しい日本の作法・和食のマナーについて親子で知識を深めてみてはいかがでしょうか。
おしぼりと懐紙の作法
おしぼりにも使い方のマナーがあります。おしぼりは手以外を拭いてはいけません。顔を拭くのは論外ですが、テーブルを拭いたり、口元の汚れをぬぐったりする際にも、おしぼりは使えません。
手以外のものを拭くために、和食の席には懐紙を持参していきましょう。懐紙とは、二つに折りたたんで着物の懐に入れておく小さな和紙のことで様々な用途に使うことができます。
例えば、受け皿や取り皿の代わりや口元・箸先の汚れやグラスの水滴の拭き取りの他にも、小骨などを口から出す際に口元を隠すために用いることができます。
懐紙を使用する際は、二つ折りになった輪のほうを手前にして使います。使い終わった懐紙は、小さく折りたたんで持ち帰るのがマナーです。
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正しい箸の使い方
正しい箸の使い方は和食マナーの基本といえます。箸の取り上げ方と箸使いのタブーについて確認しておきましょう。
まず、箸を取り上げるときは箸の真ん中を右手でつまみます。次に左手を下から添えます。最後に右手を横に滑らせ箸の下側に移動させ、左手をはずし正しく箸を持ちます。
お椀を持つときは、最初にお椀を両手で持ち上げ左手にのせます。その後に箸を右手で取ります。お箸の先を左手の指で挟み、右手を下側に移し箸を持ちます。
また、箸の使い方に関しては、禁止事項が意外とたくさんあります。相手を不快にさせてしまう下記のような箸使いはマナー違反になります。
- 箸の持ち手のほうで料理をつかむ「返し箸」
- 料理に箸をフォークのように刺す「刺し箸」
- 一つの料理を二人でつかむ「移し箸」
- 箸を握って使う「握り箸」
- 箸をなめる「ねぶり箸」
- 箸で器を手前に引き寄せる「寄せ箸」
- 器の中の料理を探る「探り箸」
- 器の上に箸を載せる「渡し箸」
- 汁を垂らしながら口に運ぶ「涙箸」
- 箸先についた米などを口で取る「もぎ箸」
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鉛筆の持ち方の応用で…お子さんに簡単に教えられるお箸の正しいマナー
会席料理の食べ方の作法
日本料理には、主に3種類あります。
<本膳料理>
最も古い歴史を持つ本膳料理です。室町時代に確立された本格的なおもてなし料理ですが、今ではほとんど廃れてしまいました。食事自体に儀式的な意味合いがあり、配膳の仕方や食べ方について細かい決まりがあります。
<会席料理>
2つ目は、結婚披露宴やビジネスの会食など宴会の席で供される会席料理です。本膳料理をカジュアルにしたもので、現在の和食コースの主流となっています。お酒を楽しめるよう酒の肴になるような料理が先に出され、最後にご飯と汁物、香の物が配膳された後、水菓子などで結ばれます。
<懐石料理>
3つ目は、お茶の席で供される懐石料理です。会席料理と区別するために「茶懐石」とも呼ばれています。懐石料理は、お茶を楽しむことを目的とし、会席料理とは逆にご飯や汁物の後に煮物や焼き物が出されます。
一般的な食事会などで出されることの多い会席料理。料理の出てくる順番や注意点について確認しましょう。
会席料理では料理が出てくる順番は、ほぼ決まっています。先付け(前菜)から始まり、椀物(吸い物)、向付け(刺身)、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物・酢の物、ご飯・汁物・香の物と続き、水菓子・甘味で終わります。
会席料理では、1品ずつ配膳されるので出てきた順番に食べます。食べきる前に、次の料理が配膳された場合は、新しく運ばれてきた料理に一度箸をつけてから、残っている料理を食べます。
食事の際、ふた付きの椀は、ふたを静かに外した後、水滴を椀の中に落としてから開け、裏返して椀の横に置きましょう。食べ終わったら再びふたをします。
焼き魚は、左側から食べていくのがマナーです。上身を食べ終えたら、頭と骨を外し皿の向こう側に置きます。この際、左手を使っても構いません。最後に骨や皮など残ったものは皿の端に寄せておきましょう。
手皿を添えて食べるのはマナー違反のため、必要であれば懐紙を使います。また、割り箸を使う場面では、箸を横に持ち、縦に上下に割るとスマートです。
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日常生活でも役立つ和室の作法
和室の作法について知っておくと、和室のあるお宅にお邪魔したときなど普段の生活でも役に立ちます。ふすまの開閉方法や入室の仕方にも、きちんとしたマナーがあります。
立ったままのふすまの開け閉めは、座っている人を見下す形になるため失礼にあたります。
そして、ふすまは3回に分けて、そっと開け閉めすることが正しいマナーです。一気に開けてしまうのは、雑で美しくない上に、部屋の中にいる人が驚いてしまいます。
ふすまを開ける際には、ふすまの中央に正座で座り、引手に手を掛け5cm、できた隙間に引手に近いほうの手を差し入れ半分、そして反対側の手に代えて体が入る幅まで開けるという3段階の手順を踏みます。
ふすまを開け終えたら、軽く会釈をします。入室の仕方には、両手を床について体を支え正座のまま膝を使って移動する方法と、一度立ち上がってから入る方法があります。いずれも下座側の脚から入るのが正しいマナーです。
歩いて入室する際には、敷居や畳のへりを踏まないよう注意しましょう。入室後は、ふすまに向かって正座し、開けたときと反対の動作をして、ふすまを閉めます。
座布団への上がり方・降り方にも作法があります。座布団に座るときには、まず座布団の下座側に正座をして、そのまま両手を床について膝を動かし座布団に上がります。降りるときも同じように膝を使い、下座側に降りるようにしましょう。座布団の上に立ったり、座布団を動かしたりするのはマナー違反です。
正しいマナーを身につけて大和なでしこを目指そう!
日本では「箸使いを見れば育ちがわかる」と言われるように、昔から食事のルールを大切にしています。ビジネスシーンやかしこまった会食の場では、正しい和食のマナーを身に着けていることが求められます。正しいマナーを覚えて、堂々とお食事を楽しみ、機会があれば子供たちにも、この日本の美しい作法を継承していけるとよいですね。
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