関西在住ですが、福島県が大好きでよくでかける調味料研究家の松本葉子です。今回は福島の名物のひとつである「円盤餃子」をご紹介したいと思います。円盤餃子は、その名の通り円盤形に並べて焼き上げるスタイルが特徴。福島市内だけでも円盤餃子を出す店は十数軒もあって、それぞれの店ごとに皮やあんに個性があるんですよ。

福島ではランチタイムに餃子は食べられない?!

初めて福島を訪れることになった時、餃子好きの私は「名物の円盤餃子食べなきゃ!」と意気込んで出かけました。ところが、行きたいと思っていた円盤餃子の店はどこもお昼は営業してない! どうして?

ホテルのフロントや観光案内所で「ランチに円盤餃子食べたいんですけど」と相談するも、みなさん口をそろえて「餃子は夜ですね~」。福島では餃子は夜のお楽しみですか?!

そして、その理由はやっと円盤餃子を食べることができた二度目の福島訪問時にわかりました。

「餃子1人前=1円盤=20個以上」がフツー!?

ようやくありつけた円盤餃子ですが、いざ注文となると一皿が20個とか30個とか。私は大食いなので平気で注文しましたが、1人前6個とかに慣れてると、これはちょっと怯えますよね。

そして餃子専門店の場合、ひたすら餃子だけを食べて(あるいはビールと共に)満腹する雰囲気です。お値段も1皿1000円以上しますから、これはやっぱり夜の食事なのだなと納得した次第。

こちらは「餃子の照井」(福島市)の円盤餃子。揚げ焼きのように感じるパリっとした皮の香ばしさが印象的。

ハーフ、つまり半円盤もあったので、「やっぱり1皿は無理っていう人も多いんですか?」と尋ねたところ、「そういう人もいるけど、1皿食べてから半分追加する人も多い」とのこと。実際この円盤餃子、野菜たっぷりのあんでしつこさ皆無。いくらでもいけちゃいます。

そしてこちらは「山女」(福島市)の円盤餃子。ふっくらしたフォルムが特徴で、皮はやや厚め。こちらも見ての通りあんは野菜主体であっさりしています。

ほかにも数店で円盤餃子を食しましたが、共通しているのは見た目のボリューム感と相反する軽やかな食べ心地。これが福島名物円盤餃子の身上であり、1人1円盤も当然という福島ならではの餃子の食べ方の元になっているのでしょう。

意外にカンタン!家でも円盤餃子を作ってみよう

ビジュアルも圧倒的に素晴らしいこの円盤餃子。家で作ってみたくなりませんか? ポイントさえ押さえれば簡単に作れます!

一番重要なポイントは…作りたい円盤の大きさのフライパンを用意すること(テフロン加工などの焦げ付き防止加工が施されたものを推奨)。これさえあればほぼ成功したも同然です。

皮は自家製ならいうことなしですが、市販の皮でももちろんOK。

あんは本場の円盤餃子と同様に野菜たっぷりで作ってみてください。豚ひき肉1に対して野菜3~4の割合だとかなり野菜感が強まります。使う野菜はキャベツ、白菜、ネギ、ニラ、ニンニク、ショウガなどお好みで。あんはしっかり練った方が包みやすいですが、まとまりにくい時や水分が多すぎるようなら片栗粉を加えて調整を。

包み方は自由ですが、あんをやや多めに包んだ方が円盤状に並べた時に美しく仕上がるようです。

軽く熱して油をひいたフライパンにぎっしり詰めるように並べますが、この時フライパンの縁の部分にも餃子が触れるように並べていくとしっかり円盤状に焼き上がります。

中火で3~4分焼いたら、小麦粉小さじ2を150ccの水で溶いたもの(この分量は直径24センチのフライパンの場合。餃子の皮の周りに粉が多く付いている場合は水だけでOK)をフライパンに注ぎ、蓋をして水分がほぼなくなるまで弱めの中火で蒸し焼きにします。この工程で餃子に火が通り、餃子同士が接着して円盤状になります。

その後、火を強めの中火にして大さじ1~2の油(サラダ油でもごま油でも)をまわしかけてパリッと香ばしい焼き色をつけます。

フライパンに皿をかぶせてひっくり返せばできあがり!


いつもの餃子もこんなふうに円盤状に焼き上げると子どもも喜ぶし、ごちそう感もでるので家飲み会なんかにもぴったり。

本場で円盤餃子の名店めぐりをするもよし、おウチ餃子のレパートリーに加えるもよし、ぜひ福島の餃子の食べ方・円盤餃子を楽しんでみてください。もちろん写真撮影も忘れずに~。