にんべんは3月から俳優の速水もこみちをアンバサダー(大使)に任命し、若年層開拓と全国展開、プレミアム消費の喚起に本腰を入れる。店頭POPや広告に起用して特設サイトを公開する。祖業の鰹節とともに守ってきた和食文化を、速水支持層の20~40代と重なる、次世代へ伝える。

創業318年で初の人気タレント起用

販売好調な「つゆの素ゴールド」シリーズはリニューアル発売して構成比を倍増。料理上手な速水と商品を開発し、鰹節やつゆ・だし商品の「新たな使い方を新たな消費者へ伝える」(にんべん・高津克幸社長)。

広告や販促に人気タレントを起用するのは、創業318年で初めてとみられる。15年に日本橋の老舗企業のうちの1社として、速水とふりかけを共同開発。「料理の情熱と伝統への興味が深かった」(高津社長)ことからアンバサダー就任を依頼した。

速水はTVの情報番組の料理コーナー「MOCO’Sキッチン」を11年から担当し、調理技術と料理イメージで幅広い層からの好感度が高い。ロイヤルユーザーの50~60代以外にも食を通じて直接、企業・商品ブランドを全国へ訴えられると判断した。部署横断のプロジェクトチームを組み、速水との協業に至った。

企画コンセプトは「伝承」、コピーは「未来に受け継ぐ。この国の、本物の味。」に設定した。メーンの告知画像は次世代代表の速水が、本物の象徴である鰹節を手にして見つめ、真面目で温かみのある「伝承」を表現。ホームページや店頭ポスター、等身大パネル、新聞・雑誌広告などで露出する。

速水考案のレシピは特設サイトや商品リーフレットで紹介する。本店の「日本橋だし場」の汁物、飲食店「はなれ」の和洋メニューも速水が考えて提供。来春は一般家庭用商品の共同開発も計画する。

「つゆの素ゴールド」「白だしゴールド」などのシリーズ4品は味わいと高級感を高めてリニューアル。速水オリジナルのレシピ提案を行い、近年続く2桁成長の勢いを増す。底堅いプレミアム消費に応え、5%の販売構成比を倍増。前年比5%増の来3月期全社売上げ目標を達成する。

◇日本食糧新聞の2017年3月8日号の記事を転載しました。