食品の購買意欲をそそる情報の一つに、パッケージがあります。そこにある情報で、私たちは「おいしそうだなぁ、食べたいなぁ」と連想します。
見出しの情報はシュークリームの食感を表したもの。シュークリームは数種類のタイプがあり、好みも人それぞれ違います。シュー皮の生地が柔らかいか硬いか、トッピングがかかっているか、中のクリームはどんな感じか…? パッケージに何も情報がなかったとしたら、食べてみなければわからないということになります(ある意味、それも楽しみですが…)。
皆さんは無意識に、パッケージの『オノマトペ』を参考にしているんですね。

おいしさの連想はオノマトペから・・・

オノマトペ(onomatopee)とは、自然や空間の音(「ひらひら」)、声(「ワンワン」)、状態(「ずっしり」)や動き(「コロコロ」)などを音(おん)で表した音象徴語。擬音語・擬声語・擬態語などを意味するフランス語です。

日本のオノマトペは世界一多いと言われています。漫画の描写の表現にも効果的に使われていることは、皆さんもよくご存知ですね。「もちもち」「シャキシャキ」「とろとろ」「しっとり」「さくさく」「あつあつ」「ねばねば」…など、食べ物の食感に関するオノマトペも増え続けています。

同じ「柔らかい」という食感であっても、「ふんわり柔らかい」「もちもち柔らかい」「とろける柔らかさ」など、オノマトペの違いで柔らかさをさらに詳しく表現できます。日本の食べ物に関するオノマトペは、とても繊細で表現力豊かなのです。

あなたの好きな食感をオノマトペで表現してみてください

食感にも、人それぞれ好みがあります。納豆の好きな人にとって「ネバネバ」は食感を表す美味しいオノマトペですが、そのネバネバ食品が嫌いな人には美味しくないオノマトペになります。

フードスペシャリストを目指す二十歳の学生を対象に数年前からアンケートをとっているのですが、毎年好きな食感は「もちもち」「サクサク」「ふわふわ」「カリカリ」、嫌いな食感は「パサパサ」「ネバネバ」「べちゃべちゃ」「ベタベタ」が上位を占めています。

このデータは、食品の開発において商品特性やターゲットの確定に影響しています。このオノマトペがそのまま商品名になった食品を、コンビニやスーパーでよく見かけます。

オノマトペはおいしさを伝えるコミュニケーション言語

さらに、オノマトペを組み合わせることでますます美味しい連想をかき立てることができます。新しい食表現の定番になっている「カリッとジューシー」や「もちふわ~」などが代表例といえます。

世界の中でも圧倒的に数が多く、多様性がある日本のオノマトペ。オノマトペの表現力を用いて日本の食文化についてコミュニケーションし、感性と連想力を養うことも食育の一つだと思いませんか? 大好きな食べもののおいしさや食感を、皆さんの感じるオノマトペで表現してみてくださいね。