夏の帰省や旅行で、皆さんはどんな農産物を食べましたか? この時季は全国の特産品が行き交い、おいしい発見がありますね。せっかくの機会ですので、あまり出回らない珍しい野菜や果物を丸ごと食べてみましょう。
観光地や故郷の歴史、自慢の農産物や地域資源を知って、特産物をおいしく食べましょう。全国の特産品を食べることは日本の食を応援するだけでなく、伝統的な食文化を学ぶことにもつながります。生産者からおいしい食べ方を学ぶことで、いつもの食材の新しい食べ方のヒントも知ることができますよ。皆さんもぜひ、特産品を楽しんで食べてみてください!

新種の野菜、産地でしか出回らない規格外農産物もチャレンジしてみましょう

全国には、その土地の栽培に適した新種の野菜が登場しています。例えば、愛知県春日井市の『食用サボテン=ノパル』。栄養成分が豊富なことから、近年注目の新野菜です。

ノパルサボテン

どうやって食べるのか知りたいですよね。まず、トゲと皮をむき、蒸します。フードプロセッサーで細かく粉砕し、白玉粉と合わせて団子を作ります。

お汁粉に入れたり、きなこやシロップがけにしたりして食べてみてください。粘り気があるので、バニラアイスと混ぜてねっとりトルコ風アイスにしても。クセのない爽やかなサボテンスイーツができますよ。

トルコ風サボテンアイス

農産物の栽培では、よい果実を得たり枝を保護したりするため、余分な果実をつみ取る摘果という作業があります。摘果した実は形や味はまだ未熟ですが、調理次第で一味違ったおいしさを楽しむことができます。

芽かきしいたけ

道の駅の野菜マルシェでは、しいたけ栽培で摘果された小さくかわいらしい「芽かきしいたけ」を見かけます。しいたけは、天日干しすると味が濃縮されます。日光に当たるとビタミンDに変わるエルゴステロールという成分が多く、食べる前に30分~1時間だけでも天日に干すことでビタミンDが倍増すると言われています。

しいたけピクルス

セミドライにしてからピクルス液に漬けると、半乾きのしいたけが液を吸い上げてしっかりおいしいピクルスになります。水で戻してから蒸してナムル等の和え物にしても、歯ごたえの楽しめるおつまみになります。

しいたけ軸のナムル

「食べるエステ」の柚子皮はアイデアと工夫でおいしい一品に

日本各地で収穫される柚子は、爽やかな酸味と香りで料理をおいしく引き立ててくれます。果汁を絞ったら皮はどうしていますか? 柚子の栄養は果肉より皮に多く、柑橘類の中では美肌や抗酸化作用、動脈硬化抑制等の効果があるビタミンC・D、リモネン等がトップクラスの含有量。柚子皮は食べるエステなんです。

ケーク・ユズ

 

ゆずシフォンケーキ

柚子のおいしさと栄養を全て味わえる食べ方をご紹介しましょう。柑橘類をお菓子の風味付けとして使うとき、果汁を絞っただけだとバターや生クリームの油脂にマスキングされて、香りが弱くなってしまいます。

ポイントは、柑橘類の皮を削って生地に混ぜること。柑橘の風味がしっかりと香る、おいしいスイーツができます。

ゆず餅とゆずまんじゅう

 

ゆずピールチョコ

柚子皮には、いろいろなおいしい食べ方があります。おろして焼き菓子、まんじゅうに。砂糖煮にすれば、柚子ピールやチョコ菓子になります。すり潰すほどなめらかにしたペースト状の柚子を練りこんだ餃子の皮やパスタは、食欲をそそる一品になります。乾燥させて、ミルサーでパウダーにしても使いやすいですよ。

おいしさプラスαな価値で躍進する6次産業化商品

近年の製粉技術の進歩により、日本の米は微細な米粉に加工され、様々な食品に生まれ変わっています。グルテンフリー、低GI、日本の自給率アップ-。日本の米をおいしく食べて、生産者を応援しましょう。おいしい食べ方は、その生産者から発信されます。

福井県池田町は町全体で有機栽培の米や野菜をおいしい特産品に加工して発信する6次産業化プロジェクトを進めていて、6次産業に取り組む町民を支援しています。特産品の米は甘酒や団子、良質な米粉や米粉スイーツに加工され、米粉のおいしい食べ方を提案しています。

町内の米や農産物を加工・販売する施設、開発や販路開拓、勉強会の援助等で町民とともに活動し、1次生産者を応援しています。

いい池田.jp(福井県池田町 観光情報サイト)


岐阜県関市の上之保地域では特産品の「柚子」を活かし、栽培は無農薬、加工は無添加にこだわってジュースやドレッシング等に加工しています。用途の少ない皮にも着目。柚子皮を特殊な加工法でペーストにして保存することで様々な商品展開が可能となり、おいしいゆず加工品が生産・販売されています。6次産業化により、地域の雇用も生まれ、地域の活性化にもつながっています。

かみのほゆず株式会社

「6次産業化」とは、1次産業である生産者(農林漁業者)が農畜産物・水産物の生産だけでなく、2次産業(食品加工)や3次産業(流通・販売)にも取り組み、農産物などの生産物の価値を高めて農林漁業者の所得や生産性を向上していく方法です。経営の多角化を進めることで農林水産業を活性化し、村や町の経済を豊かにしようと、農林水産省が支援を進めています。

「1次産業の1」×「2次産業の2」×「3次産業の3」=6次産業の造語と言われています。全国各地から発信される農林漁業生産物には、6次産業化から生まれたおいしいものがたくさんあるんですよ。