淡路島手延べそうめん専門店「ら福」(兵庫県南あわじ市福良)が昨年12月28日にオープンした。御陵糸(黒帯)を使用した、郷土料理の「鯛にゅうめん」(税別900円)や淡路島玉ネギを100%使ったオリジナルの玉ネギスープにイノブタのベーコンをトッピングした「淡路島玉ねぎにゅうめん」(同600円)などにゅうめんメニューが充実している。淡路そうめんの特徴はコシの強さでにゅうめんにしてもゆで伸びしにくい。また、1人500円(同)で一年中流しそうめんも楽しめる。

淡路手延べそうめんの生産量はわずか6554箱(18kg換算・以下同)。揖保乃糸が108万箱、島原そうめんが約70万箱、半田そうめんが約30万箱、三輪素麺が約25万箱に比べるべくもなく、手延べそうめん総生産量のたった約0.2%(日本食糧新聞調べ)だ。

他産地に比べ機械化が進んでおらず、職人が最初から最後まで手をかける昔ながらの製法が守られている。その希少性をアピールし、土産需要やギフト、ネット販売などで人気を得てはいるが、消費者は知名度のある商品を買う傾向があり、流通に乗せ、大きく販売数を伸ばせずにいる。

少子高齢化もあり最盛期には生産者は137軒もあったが現在、淡路手延素麺協同組合の組合員はわずか14軒。生産量も年々減っている。

「ら福」

将来を見据え、淡路島手延べそうめんの知名度向上を目指して「ら福」をオープンさせたのは金山製麺の代表取締役の金山守良氏。天保年間、金山氏の先祖である七平が伊勢参りからの帰り、三輪地方でそうめん作りを学び、同地区の漁師に伝えたのが淡路そうめんの始まりとされる。

「各産地ではたいてい、そうめんを食べられるところがある。福良ではそうめんをメーンに食べられる店がなかった。ここは観光地でもあり、食べてもらえればおいしさも分かってもらえるし、淡路そうめん自体の知名度向上につながる」(金山氏)とする。

金山守良さん

現在は水・土・日曜日(午前10時30分から午後5時)に開店しているが、需要期の夏に向けスタッフを充実させて、営業日を増やしていく。