香川県は県オリジナル品種を中心とした「さぬき讃(さん)フルーツ」のPRを加速させる。販路拡大のため、首都圏での試食イベントや人気パティシエとのコラボレーションなどを積極的に展開。産地に消費者を招いて生産者との交流を図る取組みを定期的に開催するなど、県産フルーツの魅力を継続的に発信する。東南アジアを中心に輸出も拡大傾向にあり、浜田恵造知事は「香川は食の魅力にあふれる地域。多くの方に県産フルーツを味わってほしい」と力を込める。

ジューシーで甘いイチゴ「さぬきひめ」は3月が食べごろ

さぬき讃フルーツは、香川県が推奨する11品目・品種の特色ある果物類。県の認定を受けた生産者が栽培し、糖度など一定の品質基準を満たしたものをいう。

イチゴ(さぬきひめ)やキウイフルーツ(香緑、さぬきゴールド、香粋、さぬきエンジェルスイート、さぬきキウイっこ)、温州みかん(小原紅早生=おばらべにわせ)などが認定され、現在33団体3個人が生産している(17年3月現在)。

県ではSNSでの情報発信や産地交流会、イベントなどでさぬき讃フルーツのプロモーションを展開。特に3月は水分量が多く甘いイチゴ「さぬきひめ」の収穫が最盛期を迎えるため、首都圏でのPR活動を加速させる。

さぬきひめは09年に品種登録された香川を代表するイチゴブランド。県のイチゴ栽培面積の7割以上を占め、16年産は1580tの出荷を見込む。

香川・愛媛せとうち旬菜館などで苺フェア

3月9~12日は、東京都内のアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬菜館」や、クイーンズ伊勢丹10店舗で苺フェアを開催。店頭の試食販売では多くの消費者が旬の味を楽しんだ。品川店の阿出川昌男青果担当チーフは「試食後の購入率は高い。比較的新しい品種なので認知度はまだ低いが、こうしたイベントなどで県と協力しながら販売を続けたい」と手応えを感じている。

また、同期間中は人気パティシエ・鎧塚俊彦氏の「ToshiYoroizuka TOKYO」で、さぬきひめを使ったオリジナルスイーツを限定販売。食材を求めて何度も香川に足を運んでいるという鎧塚氏は「香川は農業に適した広い平野がないが、農家の方は高品質で良い物を作ろうと一生懸命努力している」と県産フルーツを高く評価した。

15年産のさぬき讃フルーツの総生産量は約2000t、出荷額は22億5300万円だった。生産量・出荷額は年々増えており、近年は上海や香港、台湾、ソウルなど東南アジアを中心に輸出にも注力している。

◇日本食糧新聞の2017年3月22日号の記事を転載しました。