はくばくと長野県、信州大学は、もち性大麦を活用した健康地域づくりに取り組む。県内では、県農業試験場が開発したもち性大麦の新品種「ホワイトファイバー」の本格生産が昨年から始まっており、はくばくは、この大麦を使った「国産もち麦」を昨年11月から展開。信大医学部保健学科は今後、もち性大麦摂取の効果実証試験に取り組む計画で、産学官連携による機能性研究、用途・需要開発を進めていく構えだ。

炊くとコメに近い白色、もち性大麦新品種「ホワイトファイバー」

「ホワイトファイバー」(東山皮糯=とうさんかわもち=109号)は、うるち性大麦に比べて水溶性食物繊維、βグルカンを2倍近く含有しており、炊いた際の色が従来のもち性大麦に比べてコメに近い白色なのが特徴。もち性大麦としては国内初の実用奨励品種で、全国に先駆けて松本市など長野県中部で生産が進んでいる。

信大の医学部保健学科、学術研究・産学官連携推進機構が3月13日に松本市の信大松本キャンパス内で開いたキックオフ講演会では、「大麦の魅力と付き合い方」をテーマに、はくばく市場戦略本部の松岡翼氏、県農業試験場の酒井長雄育種部長、料理研究家の横山タカ子氏、信大医学部保健学科の日高宏哉准教授らがパネルディスカッションを行った。

水溶性、不溶性食物繊維が豊富 「一汁三菜にうまく取り入れて」

松岡氏は、集まった市民ら約70人を前に「ホワイトファイバー」が押麦や玄米、ゴボウなどより水溶性・不溶性食物繊維を多く持つことを紹介。「現在の大麦人気は海外から始まり、国内でも興味を持ったメーカーなどが増え始めたことで緩やかに伸びてきた。急にストンと落ちることは考えにくく、さらに定着が期待できる」と述べた。

酒井部長は「ホワイトファイバー」の生産状況について、「現在は数100tレベル」とした上で今後、生産拡大を図りたいと説明。現在、はくばくが使用しているもち性大麦は、ほぼ海外産で年間約5000t。松岡氏は、「もち性大麦は主食であるご飯と一緒に炊いて食べるのが中心。大きなボリュームが期待でき、『ホワイトファイバー』の生産拡大に見合うポテンシャルはある」と述べた。

横山氏は、「『一汁三菜』の中に、大麦をうまく取り入れて」と提言。信大側は今後、一般モニターなども募りながら、「ホワイトファイバー」の機能、優位性を明らかにしていく方針だ。

◇日本食糧新聞の2017年3月22日号の記事を転載しました。