オランダ人は基本的に生魚を食べません。今でこそ和食が広まり刺身や寿司の知名度が上がったため、私が生魚を食べると話しても共感してくれるオランダ人もいますが、15年前にこの話をすると、たいていの人の反応が「??」もしくは「あり得ない!」でした。
そんなオランダ国民が唯一こぞって愛する「生魚」があります。その魚の名前は「Haring」(ハーリング)です。

ニシンを塩漬けにしたHaring

ハーリングとは、若いニシンを塩漬けにしたもの。冬の間は細身のニシンですが、5月ごろになると脂がのってきます。16%まで脂がのったら、さあ収穫の始まりです!

生に見えるこのニシンですが、実はオランダでは塩漬けにされていて、製造工程もきちんと決まっています。14世紀に決められた製法に従って収穫されたニシンの下処理を行い、塩漬けにします。ニシンは捕獲後、最低24時間は冷凍させて殺菌をして下処理の段階へ進みます。

そしてできあがったニシンは7℃以下で保存されるなど、キチンとマニュアルがあり、徹底管理下で製造販売されています。酢漬けのハーリングもオランダには存在しますが、オランダでハーリングといえば「生の塩漬け」これに限ります!

オランダ人がこよなく愛する生魚 Haring

ハーリングの初物を祝うパーティーも

さてこのハーリング、実は毎年解禁日があります。解禁日の決定条件は、5月の生育状況調査で決定するようです。ニシンの脂が16%に達成したら捕獲が始まります。捕獲後、内臓と頭を取り冷凍庫で24時間殺菌したら塩漬け。今年の解禁日は6月14日でした。

通常、この日から1週間以内にオランダの主要都市(特に港町)ではHarring Partyが開催されます。名前の通り、ハーリングの初物を喜ぶパーティーです。ドレスコードがある場合が多いようで、私の住む街では、きちんとした格好でみなさん出席されています。

パーティーでは競売が行われています。樽に入ったハーリングを参加者が競っていき、主催者が決めた合計金額になるまで競売が続きます。競売はあくまでもパフォ―マンスですが、競りで言った金額は競り落とせなくても支払いは必須です。そのため、声を上げる時には名前と金額を言うのだとか。そして競り落とした金額は、各種ボランティア団体や施設などへ寄付されます。

ハーリングをどう食べる?

さてこのハーリングを、オランダ人はどう食べているのでしょうか? 基本的な食べ方は、粗みじん切りであく抜きをしてない玉ねぎを乗せて尻尾を持ち、大きな口を開けて食べます。

Haring(ニシン)の正式な食べ方

こちらの写真が、その食べ方例。国王も庶民も食べ方は同じ。この時期になると、マーケットや魚屋で大口を開けた大人が空を仰ぎながらハーリングに舌鼓を打つ姿があちこちで見られます。

このハーリング、オランダ人はパンに挟んで食べたりもするのですが、個人的には玉ねぎ抜きでハーリングを一口大にして、ワサビ、ネギ、しょうがのみじん切りやシソを乗せて丼にし、食べる直前に醤油をかけていただくのが一番好きな食べ方。アジのたたき丼のような感じですね。

時々作るHaring丼