高知県の魚を使わないお寿司「田舎寿司」。野菜やきのこ、こんにゃくなどを使ったお寿司はヘルシーなだけでなく、見た目にも鮮やかで食欲をそそります。今回は子どもたちに人気の食材を使ったヘルシー田舎寿司の作り方をご紹介します。野菜が苦手な子も一緒に作ることで、食べることへの興味を持ってもらえるのではないでしょうか。

ヘルシーな田舎寿司を子どもと作ろう!

今回ご紹介するレシピではお子さまでも食べやすいように子どもたちに人気の野菜を使ってみました。また、酢飯には沿岸部で食べられているものを参考に鯖のほぐし身を使用してうま味をプラスしています。ぜひ、ご自宅でも試してみてください。

【材料】(2~3人分)
<酢飯>
炊きたてのご飯 1.5合分
寿司酢 50ml
ゆず果汁(100%) 20ml
鯖フレーク 大さじ3
白炒りごま 大さじ1

<寿司ネタ>
板こんにゃく 1パック
生しいたけ 4つ
アスパラ 4本
ヤングコーン 4本
カニかま 3本
赤かぶ 8切れ

<出汁>
粉末出汁 8g
みりん 小さじ1杯
醤油 大さじ1杯
水 400ml

鯖のほぐし身は瓶入りのものなどを使用すると便利です

【作り方】
1.こんにゃくは短冊に切り、真ん中に袋になるよう切り込みを入れる。

2.鍋に出汁の材料を入れ、(1)と、しいたけ、アスパラ、ヤングコーンを加えて火にかけて煮る。粗熱をとり、味が染みるように冷蔵庫で保管する。

3.炊きたてのご飯に、柚子酢、寿司酢を加え、よく混ぜ合わせる。

4.ほぐした鯖、ごまを入れて混ぜ、しゃりの完成。

5.しゃりを一口大、手に取って形を整える。

6.しゃりの上にそれぞれの具をのせて完成!

実はお寿司大国の高知県!田舎寿司は山のごちそうをぎゅっっっと凝縮したふるさとの味

昔、お米がまだ貴重な食べ物であった時代、高知の人々はごちそうであるお米と他の食材を組み合わせ、なんでもお寿司にしてきました。高知はお酢好きな土地柄であったことも、寿司文化が花開く一つの要因となりました。

きびなごとおからを使った「おから寿司」、鯖に酢飯を詰め込んだ「鯖の姿寿司」など、高知県には実に珍しい郷土寿司がたくさんあります。中でもユニークなのが、県内各地の山間部で作られてきた「田舎寿司」です。

しゃりの上には魚の代わりに野菜の姿! カラフルで見た目も楽しい(写真提供:高知県観光振興部観光政策課)

特徴は、寿司ネタが魚ではなく野菜であるということ! 昔、海から遠く離れた山の中では魚を使うことができなかったため、代わりに山の幸である野菜や山菜を使用するようになりました。

野菜を使った郷土寿司は全国各地でも見られますが、そのほとんどが五目寿司の具として酢飯に混ぜ込むというもの。寿司ネタとして、しゃりの上にのせる「田舎寿司」は全国的にも非常に珍しいと言えます。

ミョウガにシイタケ、タケノコやこんにゃくといった具がしゃりの上に鎮座している様子はなんとも不思議です。

高知では、いつでも使えるように瓶入りの柚子酢が売られています

「田舎寿司」のもう一つの特徴は酢飯です。すなわちしゃりの作り方に特徴があります。一般的な酢飯はご飯に寿司酢を混ぜ合わせて作りますが、「田舎寿司」の酢飯には、寿司酢の他に柚子果汁が必ず使われます。柚子の産地としても有名な高知県では、もともと柚子果汁を柚子酢(ゆのす)と呼び、お酢の代わりとして使用してきました。

柚子果汁を使用することで、お酢特有のつんとした刺激がなくなり、華やかな香りも楽しむことができます。酢飯に柚子、寿司ネタに野菜や山菜。「田舎寿司」には高知の山の幸がぎゅっと詰められているのです。

田舎寿司に込められた高知流おもてなしの心

実にたくさんの郷土寿司が高知県で生まれたその背景には、貴重なお米を使って何でもご馳走にしようという思いがあります。とはいえ、ご馳走の種類がここまで豊富になった理由は何でしょうか。そこには、高知県民が大切にしてきたおもてなしの心があります。

高知県には「おきゃく」と呼ばれる宴会文化があります。「おきゃく」とは、土佐弁でまさに宴会のこと。冠婚葬祭や神事など、何かにつけて宴会を開き、親族はもちろん近所の方々からもお客さまを招待しておいしいお酒と料理でもてなします。

ご馳走は大皿に盛ってみんなで分け合うスタイル「皿鉢(さわち)料理」が高知流(写真提供:高知県観光振興部観光政策課)

この時、供される宴席料理が有名な土佐の「皿鉢(さわち)料理」です。「皿鉢料理」とは、大きなお皿にたくさんのその土地のご馳走を盛りつけたもの。そこには、一度に大量の料理を提供することで誰かが台所に立ち続けることがないようにという配慮があります。

知っている人も知らない人も、若い人もお年寄りの人も、宴席にいる人みんなが同じお皿から料理を取って食べ、お酒を酌み交わすことで、まるで大きな家族のようになれる。「おきゃく」文化には、高知県民の同じ卓についた人々を心の底からもてなそうという温かい心が表れているのです。

その土地でよくとれる食材を使ったご馳走でお客さまをもてなしたい。数々の郷土寿司が生まれた背景には、こうした高知県民のおもてなしの心があります。

参考サイト:
田舎寿司 土佐のまんまる
人気グルメ雑誌「dancyu」植野編集長が田舎寿司の魅力を語る 【高知県公式】高知県情報のまとめサイト「高知家の○○」
黒潮町蜷川で高知の味がまるごと詰まった「田舎寿司」の手作り体験!【高知県公式】高知県情報のまとめサイト「高知家の○○」
高知の食や地酒が味わえる「高知家 おきゃくイベント in TOKYO」開催|【高知県公式】高知県情報のまとめサイト「高知家の○○」

暑い夏に、彩豊かな田舎寿司でお弁当もいいですね!かわいい見た目に、さっぱりとした酢飯が食欲をそそります

高知県民のそんなおもてなし料理として発展した「田舎寿司」。野菜のお寿司という意外性や、カラフルな見た目からも、ホームパーティーなどで出せば目を引くこと間違いないでしょう!

また、お寿司を一緒に握ったり、子どもが自分の好きなネタをのせたりといった食材との触れ合い、これから食べるものをお母さんと一緒に作るといった経験は、子どもたちの「食べる興味」を大いに引き出してくれるでしょう。

お家で作る「田舎寿司」のネタに決まりはありません。ぜひお子さまの好きな野菜を使って、「私たちの家の田舎寿司」を作ってみてください!