ドラマ「北の国から」で一躍有名になり、北海道の中でも観光地として人気の高い富良野。「北海道で作られる作物の中で、富良野でできないものはない!」と言われるほどさまざまな農作物がつくられている土地でもあります。みなさんよくご存じのパッチワークのような美しい景色は、異なる種類の作物の畑によって生み出されるのです。

おいしい野菜は土作りから

周囲を山に囲まれ、内陸性気候が特徴の富良野盆地は、1日の気温差、年間を通しての気温差も大きく、冬はマイナス30度を下回ることもあり、夏は30度を越える日もあります。東の十勝岳山麓は美瑛から続く緩やかな丘で畑作に適し、西の芦別岳山麓の扇状地形と、空知川、ベベルイ川、富良野川流域に広がる平らな土地は水田耕作と、豊かな自然と地形が作物に特色を出しています。

私がおいしい野菜を分けていただいているのは、中富良野で110年続く天心農場の北川さんです。天心農場は土作りを第一に考え、リン酸、チッ素、フミン酸のバランスを整えて、リン酸を作物が多く取り入れられる土作りをされています。おいしい野菜を届けるには、丁寧に栽培することはもちろんですが、収穫のタイミングを見極める目が必要です。野菜を完熟させることが大切なのです。

グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスの違いは

作っていらっしゃるのはアスパラガス、玉ねぎ、人参、カボチャ、ごぼう、長芋、アンディーヴ、エシャロット、山ワサビ、米。中でもアスパラガスは種蒔きから収穫まで5年かかり、すべて手作業のため年々生産者が減っており、これからもずっと取り組んでいただきたい貴重な野菜と感じています。

アスパラガスはユリ科の多年草で、春から地上に出てくる新芽を食べます。原産地は地中海沿岸で、涼しい気候を好みます。アスパラガスにはグリーンとホワイトがありますが、その違いをご存じでしょうか。

日光に当てて栽培したものがグリーンアスパラガス、遮光して栽培したものがホワイトアスパラガス、品種が違うのではなく、栽培方法が異なるのです。茎が太く張りがあり、みずみずしいもの、穂先が締まって重く感じられるものを選びましょう。食べ方としては炒め物、揚げ物、茹でてサラダなどいろいろな調理法があります。

富良野産グリーンアスパラガスのレシピ

今の季節にぴったりの冷製ポタージュのレシピをご紹介しますので、春の北海道を思い浮かべながら味わってみてください。

【富良野産グリーンアスパラガスの冷製ポタージュ】

<材料(4人分)>

グリーンアスパラガス・・・・・400g
無塩バター・・・・・・・・・・40g
ミネラルウォーター・・・・・・400g
塩・・・・・・・・・・・・・・適宜
生クリーム・・・・・・・・・・50g

<作り方>

  1. グリーンアスパラガスは、はかま(茎にある褐色の三角形)を取って皮をつけたまま2mmの薄切りにする。
  2. 平鍋にバターを熱し(焦がさぬように)①のアスパラガスを入れる。中火にして火を入れていく。軽く塩を入れる。
  3. アスパラガスの香りが出て柔らかくなったらミネラルウォーターを加える。
  4. 強火にして約2分間煮る。灰汁が浮いてきたらそれをすくう。
  5. すぐにミキサーにかけてこし網で漉す。氷水に浮かべたボールに入れてなるべく早く冷ます(色止めをするため)。
  6. 生クリームを入れ塩をし、味を調える。
  7. 冷やした器に盛り付ける(茹でたアスパラガスを小口に切って加えても良い)。

*レシピのポイント

スープ用のアスパラガスはまず新鮮であること、そして細いアスパラガスのほうがグリーンの色が鮮やかに出ます。調理の際には素早く茹でて素早く冷やすことが大事です。茹でた汁ごとミキサーにかけるので、塩加減に注意してください。

大塚健一(北海道 ル ゴロワ 第1回料理マスターズ ブロンズ賞受賞)

高校卒業後、軽井沢プリ ンスホテルに入社、フレンチレストランの厨房で12年間つとめる。東京のフレンチレストランでの修業を経て、1994年からはパパス・カフェのシェフをつとめる。97年に独立してル ゴロワを東京・表参道に開店、2006年に東京・神宮前に移転。16年夏に東京の店を閉め、17年夏に北海道富良野市で開業予定。1960年長野県生まれ。