「奇跡の木」モリンガは開発途上国の栄養改善に大活躍
モリンガ、別名ワサビノキはインドが原産で、半乾燥地の熱帯や亜熱帯地域で主に栽培されています。葉、実、種、花、幹、根などさまざまな部分を活用することができ、各種ビタミン、カルシウム、鉄、アミノ酸、ポリフェノールなどさまざまな栄養を高い値で含むことから、「奇跡の木」と呼ばれる注目の食材です。日本では粉末やサプリメントとして流通しています。
西アフリカ・ベナンの栄養改善事業で活用中
ハンガー・フリー・ワールドの活動国、西アフリカのベナンではこのモリンガは自生しています。ところが住民たちはその栄養について知る機会がなく、食材としてこれまで利用されていなかったのです。ハンガー・フリー・ワールドは、このモリンガに注目し、栄養改善事業に取り入れることにしました。
住民を集めたワークショップで、住民たちに、モリンガが非常に優れた食材であることを伝え、積極的に食事に取り入れるようにすすめています。
モリンガの葉は硬い軸の部分を除き、下ゆでして使います。
調理も簡単!モリンガの食べ方は?
とはいえ、なじみのない食材をすぐに使えといっても抵抗があるもの。実演しながら、調理方法を教えました。まず、これまでのメニューの中に無理なく取り入れられるよう、ソースに加えるように提案しています。下ゆでしたモリンガを、トマトソースやタマネギ、オイル、魚と一緒に煮込みます。
トマトソース煮込みは現地ではとてもポピュラーです。
お母さんたちは興味津々で、調理の様子を見守ります。
そしてでき上がった料理は、子どもたちと試食。次々口にしてくれる様子を見て、「これなら調理も簡単だし、いけそう」とお母さんたちも顔がほころびます。
子どもから大人まで手軽に栄養摂取。栽培していつでも食べられる食材に
栄養を補う食材として料理方法を教えるだけでなく、いつでも入手できるようモリンガを植えて育てることを進めています。ベナンの気候に合っているため、手がかからず育ちます。
自宅近くに植えれば、いつでも食材として利用することが可能です。栽培方法についても研修を行い、お母さんたちに苗を配布しました。アフリカ式に頭に苗を載せて、お母さんたちは家に持ち帰ります。
手を添えなくても頭に苗木をのせて普通に歩いています。バランス感覚抜群。
野菜不足だな、と思ったら、家に植えているモリンガの葉をちぎって料理に使う……といつでも食料の確保ができ、栄養満点の料理が作れそうです。
世界の飢餓人口は8億2100万人(2018年現在)。9人に1人が飢餓に苦しんでいます。ハンガー・フリー・ワールドは、飢餓に苦しむ人々の自立を支援し、人がみな生まれながらに持つ「食料への権利」の実現をめざしています。栄養改善事業や識字教育などを実施し、政府や国際機関への政策提言も行っています。活動は現地の住民と一緒に行い、将来的に住民が自分たちで事業を運営し、地域の課題を解決できるようになることをめざします。
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