ハンガー・フリー・ワールドの活動地域である西アフリカのベナンでは、ピーナッツがよく食べられています。ピーナッツといえば、最近ハリウッドセレブの間でも「美容に最適」と人気の食材。特に“ヘルシーなおやつ”としてピーナッツを使った食品を好んで食べる人が多いとか。
そんな今話題のピーナッツをふんだんに使ったお菓子が、ベナンにもあるんです。名前は「クリクリ」。どんなお菓子なのかをこれから詳しくご紹介します。

「クリクリ」ってどんなお菓子?

日本ではあまり耳にしたことがない「クリクリ」ですが、その正体は「ピーナッツの風味が存分に生かされた(少し硬めの)揚げ菓子」です。ピーナッツに水、塩が基本の材料で、そこにスパイスや砂糖など、生地に自由に味つけを施します。

甘みや辛みが加わったピーナッツの生地が、油でカラッと揚げられている……その味を想像するだけで、おいしそうですよね。ところが、ベナンでは「家庭で食べるためだけ」のおやつとしては、ほとんど作られることがありません。

なぜなら、大量のピーナッツを細かくするための「粉砕機(フードプロセッサー)」がベナンの家庭にはないのです。作る場合は、お金を払って粉砕機をレンタルする必要が。そのため「クリクリ」を作るのは販売する予定があるときのみになるのです。

写真でご紹介しているのは、ハンガー・フリー・ワールドが支援している協同組合のメンバーがこのお菓子を作っているところ。製造・販売する場所は、同じくハンガー・フリー・ワールドが運営を支援している幼稚園の園庭です。そして、購入するのは、子どもたちの保護者や近隣の方たち。日本でいう「幼稚園のバザー」に近いでしょうか。

お菓子はとても評判がよく、大人気! 収益は協同組合メンバーの収入になります。得た収益で栄養バランスのよい食材を購入できるようになれば、住民の栄養状態が改善することが期待できます。

ベナンでの「クリクリ」の作り方

それでは、ベナンで人気の伝統菓子「クリクリ」の作り方をご紹介します。

【材料】
ピーナッツ、水、塩(量は硬さや状態を見てお好みで調整してください)

【作り方】
1.ピーナッツをフードプロセッサーなどで粉砕。途中で水・塩を適量加え、ペースト状にします。
2.ピーナッツのペーストをしっかりと練ります。

3.よく練ってツヤのある塊にする。練るとどんどん油が出てくるので、それをスポンジで吸いとって容器へ入れておく。

4.練り終わったピーナッツを成形(写真では棒状だが、形はボール状や四角形でもなんでもOK)。

5.成形完了!(乾燥させる必要はなし)


6.容器に集めた油で揚げて、こんがり色づいたら完成。

人気の「クリクリ」は市販品もあり、ベナンの人々に長く愛され続けています。

市販されている「クリクリ」

塩だけの味つけの場合は素朴なピーナッツの風味ですが、砂糖やスパイスを加えて生地を練れば、さまざまな味を楽しめるので、バリエーションを変えてチャレンジを。ただし、砂糖を加えると硬くなるので、そこだけ気をつけてくださいね。

栄養改善と識字教育で、住民の生活改善を!

ハンガー・フリー・ワールドでは、協同組合支援以外にも、ベナンの子どもたちが健康的な生活を送れるよう、栄養改善事業を行なっています。食事をしていても量が足りなかったり、バランスが悪かったりするために、体調を崩してしまう子どもたちも多いのです。

そんな現状をなくすために、現地の食材を使った栄養豊富な食事作りのノウハウをワークショップで教えています。また、成人の識字率が33%(出典:ユニセフ世界子供白書2017)というベナンの現状を改善できるよう、識字教育も行なっています。

栄養改善と識字率、一見すると無関係にも感じられますが、女性の識字率と5歳未満児死亡率には相関関係があるのです。識字率が上がれば、5歳未満児死亡率は下がります(世界銀行)。女性が教育を受けることで救える命があるのです。

識字教育の事業では、栄養知識や食事メニュー、衛生や健康など栄養不良から脱出するための知識をテキストで学び、同時に「読み・書き・計算」の能力を身につけられるようなカリキュラムになっています。住民の生活に役立つ情報の提供を行なっています。