ヤムイモを臼と杵でペッタンペッタン…日本のお餅つきとそっくり!
年末に臼と杵を使ってペッタンペッタンお餅つき……という風景は、日本では今はもう昔になりました。小学校や保育園の行事で、もしかしたら汗を流された方がいらっしゃるかも? 西アフリカのベナンでは、杵と臼が現役で活躍しています。
ベナンでよく食べられるヤムイモ料理
西アフリカ・ベナンは、国際協力NGOハンガー・フリー・ワールドが飢餓に直面する人々の自立支援の事業を行っている活動地のひとつです。そこでは、日本の杵と臼にそっくりな道具が使われています。
ただし、ついているのは蒸したもち米ではなくて、ゆでたヤムイモ。お餅のように保存は効きませんが、ベナンではよく食べられる料理です。材料のヤムイモは、ベナンでは最もポピュラーなイモで、日本のヤマイモに似ています。
粘りが強くて、ビタミンB6とカリウム、炭水化物、マグネシウム、食物繊維が豊富で低カロリーです。
【作り方】
1.ヤムイモの皮をむいてざっくり切り、同量の水でゆでる。写真の量で約10人前。
2.ゆでたヤムイモを臼に入れる。
3.45分以上かけて丁寧につく。
4.手水のかわりにヤムイモのゆで汁を様子をみながら加え、なめらかになるまでつく。
ヤムイモで作るイニャムピレ。魚や野菜のソースでいただく
ヤムイモをついて作った料理はイニャムピレと呼ばれ、ベナン中央から北部でよく作られています。この地域の家庭には、たいてい杵と臼があります。でき上がったイニャムピレは、手でちぎって魚や野菜のソースをつけて食べるのが定番。
ついて2~3時間はそのまま食べられますが、保存が効かないのが難点です。手間暇もかかるため、「特別な時しか作らないわ」という家庭も多いとか。でも、結婚式や誕生日、来客時など行事のときには作られるようです。
ヤムイモはほかに、ゆでて塩をふって食べる、油で揚げる、乾燥して粉にしたものを加熱して練って食べる、オニオンやトマトソースにヤムイモを入れて煮込むなど、さまざまな料理に利用され、主食として食べられています。
その土地の気候に合った作物で飢餓をなくす
ヤムイモはずっと昔からベナンで栽培され、食べられてきた食材です。中南米が原産でアフリカに導入されたトウモロコシなどに比べ、はるかにアフリカの気候に合い、安定した収穫が見込めます。
ベナンでは11月の終わりから6月にかけて、さまざまな種類のヤムイモを、時期をずらして植えます。収穫は8月から4月にかけてですが、種類によって採れる時期が異なるので、長い間収穫し続けることができます。
ハンガー・フリー・ワールドでは、栄養不良の人々を対象にした栄養改善事業を行っていますが、必ず地元で採れる食材を使った栄養バランスのよいメニューを教えています。食材が手に入りやすいこと、現地の食文化になじんでいることは大切なポイントです。
いくら現地に日本や他の国の食材や食文化を持ち込んでも、その後根づくことが難しいからです。また、現地では小規模な家族経営の農家が大半で、農作物の収穫量を上げ、収入をいかに増やすかが課題です。
ハンガー・フリー・ワールドでは農業知識やスキルの研修も行い、住民たちが自分たちの力で、持続的に適切な食料が得られるように支援しています。
世界の飢餓人口は8億2100万人(2018年現在)。9人に1人が飢餓に苦しんでいます。ハンガー・フリー・ワールドは、飢餓に苦しむ人々の自立を支援し、人がみな生まれながらに持つ「食料への権利」の実現をめざしています。栄養改善事業や識字教育などを実施し、政府や国際機関への政策提言も行っています。活動は現地の住民と一緒に行い、将来的に住民が自分たちで事業を運営し、地域の課題を解決できるようになることをめざします。
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