洋食や煮込み料理は、技術が必要だし、手間と時間がかかりそうなイメージがあります。もちろん、本式にやるとすればそれなりに難しい料理でしょうが、私は「簡単でもおいしい」を探していきたいです。今回作ってみようと思うのは、「ビーフストロガノフ風ハヤシライス」です。

サワークリームの代わりにプレーンヨーグルトを

ビーフストロガノフと、ハヤシライスの上にかかっているソース「ハッシュドビーフ」との違いは、簡単にいうとサワークリームが使われているか否かです。

私は、酸味のあるビーフストロガノフが好きなのですが、サワークリームはあまり身近なスーパーマーケットでは見かけませんよね。そこで、これをプレーンヨーグルトで代用して作ってみたいと思います。ソースもドミ缶「ドミグラスソースの缶詰」を利用すると簡単です。

【材料(3人前)】
牛バラ肉 200g
小麦粉 大さじ2
玉ねぎ 中1個
にんじん 中2cm
しめじ 1/2パック
油 大さじ1
ドミグラスソース 1缶
中濃ソース 大さじ3(ウスターソースでも可)
バター 1片
プレーンヨーグルト 大さじ3
麦ご飯 3膳(無菌パックご飯でも可)
刻みパセリ 少々
ブロッコリー 小9房

*プレーンヨーグルトは酸味の少ないタイプも販売されているが、ここでは酸味のあるほうが合う。
*刻みパセリはホームフリージングしたものが便利(余ったパセリは冷凍庫へ!簡単で便利な使い方【レシピ付き】)。

【作り方】
1.牛肉は細切りあるいは短冊切りにし、小麦粉をまぶす。

2.玉ねぎは繊維に沿って二等分し、さらに繊維を断つ方向に5mmほどの幅に切る。にんじんは短冊切りにする。しめじは石づきを取って小房に分ける。ブロッコリーは小房に分けてゆでておく(冷凍ブロッコリーを電子レンジで加熱してもよい)。

3.フライパンを熱して油をひき、(1)を炒める。

4.(3)ににんじん、玉ねぎを加えて炒め、ドミグラスソース缶、中濃ソースを加え、しめじを入れて煮込む。

5.(4)にバターを加えて混ぜ、香りがたったら火を止める。

6.皿に麦ご飯をのせ、刻みパセリをふり、(5)をかけ、ブロッコリーとプレーンヨーグルトをトッピングして完成。

いかがでしょう。プレーンヨーグルトはトッピングではなく、(5)の工程でフライパンに加えても構いません。ヨーグルトの量は好みでもっと多くしてもよいです。

謎の料理、ビーフストロガノフとハヤシライス

ビーフストロガノフは牛肉の伝統的煮込み料理で、ロシア生まれです。しかし、名前がよく知られているわりには、料理店にあまり置いておらず、置いてあってもお店により見た目も味もまったく異なるので、「定番のビーフストロガノフって、どういうものだろう?」と疑問を抱いた方も多いと思います。私は、ビーフストロガノフとハヤシライスの区別もつきませんでした。

ビーフストロガノフとは、「牛肉を玉ねぎやきのこ類とともに炒め、スープで煮込み、仕上げにサワークリームを加えたもの」という記載もあります。しかし、ウクライナ風だと色は白く、ビーフシチューよりもクリームシチューに近い料理だといいます。また、日本ではトマトやドミグラスソースを使ったりすることも多いようです。

なるほど、だから一口にビーフストロガノフと言っても、千差万別なのですね。私はドミグラスソースを使うのが定番だと思っていて、ここでもドミ缶を使いましたが、日本流アレンジの一つに過ぎないのでしょうか。

ご飯を添えることも多いそうです。ドミグラスソースを使ったタイプのビーフストロガノフをご飯にかけたら、ハヤシライスにそっくりですね。それが、今回の料理のヒントになりました。

しかし、ハヤシライスは牛薄切り肉と玉ねぎをドミグラスソースで煮込んでご飯にかけたもの。イギリス料理のハッシュドビーフが由来だそうです。西洋料理をもとに日本で独自に発展した「洋食」なのですね。この「ハッシュドビーフ」も、牛薄切り肉の煮込み料理ではありますが、日本のハヤシライスの上にかかっているものとは似て非なるものだそうです。

では、ハッシュドビーフとビーフストロガノフはどう違うのか。それは、サワークリームを使うか否かにあるみたいです。

こうして伝統料理の歴史を探ってみると、料理というものは時代とともにどんどんと変化していることがわかります。それによって定着し、また、新しい人々のニーズにも応えていったのですね。昔ながらの作り方を踏襲したり、復活させたりすることも、アレンジを加えて新しい料理にしていくことも、料理文化の幅を広げて奥行きを深めるために、等しく大事なことだと思いました。