西宮市の老舗洋食店「洋食とワインのお店 土筆苑」で12月から、古代の食文化を現代風にアレンジした日本初の「縄文洋食」を提供している。同店の大谷隆史シェフが“味の時空越え”をテーマに、縄文時代の食生活と現代の洋食をミックスした「縄文ハンバーグ」を作りあげた。

今年創業45周年を迎えた同店は「味の記憶超え」として80年代に失われた名物レシピ「ステーキサンド」をよみがえらせた。今度は「味の時空超え」をテーマに、縄文食の完全な再現を目指すのではなく、太古の食生活に現代調理化学と洋食を融合。エンタメ感がありながらおいしい「縄文洋食」の3品の開発に挑戦した。

「縄文ハンバーグ」は丹波で狩猟したイノシシとシカに、クルミと古代麦で作りあげた特製パンのパン粉を使用。ハンバーグには、客が自ら「採取」した乾燥ハーブ、ナッツ、古代塩を石皿でゴリゴリとすりつぶし、調味料を作る趣向を凝らした。提供時には、焚き火をイメージしたスモークが舞い上がる。

「縄文デザート」は「崩れ落ちた火山の中から、氷河に包まれたマンモスの…」と、クスッとなる仕掛けを施した。バルーンチョコに温かいココナツミルクをかけると、中から氷に見立てたレインドロップケーキと閉じ込められたマンモスの骨付き肉風スイーツがお目見えする。

「縄文サングリア」は、6~8種類の自家製ドライフルーツを、赤ワイン、白ワインに漬け込んだ。縄文時代の食料の保存方法として、乾燥技術が有力ではないかというシェフの推測が生きた。

ハンバーグとデザートの縄文洋食セットは3300円(税別)で、1日10食限定。1日前までに要予約でディナー限定。サングリアは500円(税別)で提供。

〈店舗概要〉▽店舗名=洋食とワインのお店 土筆苑▽所在地=兵庫県西宮市高松町11-2▽電話番号=0798・65・3366

◇日本食糧新聞の2018年12月12日号の記事を転載しました。