ジビエがいま人気の理由は?子どもにも伝えたい肉本来の「おいしさ」
近年、肉ブームが続いています。振り返れば、焼肉、モツ鍋、ホルモン、トントロ、ジンギスカン、熟成肉、グルメバーガー、鶏の唐揚げ、手羽先、ローストビーフ丼、立って食べるステーキ…。まだあったと思うけれど、ざっと思い出しただけでもこれくらいあります。そして、今年の冬はジビエがブームです。ではなぜ、今、ジビエがブームなのでしょうか?
ジビエって?
ジビエとは、野生の食べられる鳥獣肉のこと。メジャ―なところで言うと、鹿肉、イノシシ、野鴨など。鹿肉などはほとんど脂肪がなくさっぱりしています。そのほか、野バト、野ウサギ、キジ、うずら、熊などもフレンチや中国料理などでいただけますし、和食も鍋や地方料理などの飲食店でメニューにある店も増えています。
私は以前からジビエは大好きで、シーズンになるとよく食べています。熊肉の食べ比べも以前体験したことがあります。
ジビエ人気の背景は?
なぜ、今冬ジビエがブームになっているのでしょう。食べ慣れない方もいらっしゃると思いますが、ジビエはそもそもおいしいから、という理由があります。なんたって、脂肪が少なくてヘルシー。厳しい自然環境の中で野山を駆けまわっているのですから、脂肪がつかないのです。
筋肉質ですから、決して「とろける~」とか「ジュワ~ッと肉汁が!」といった柔らかさはありません。どちらかといえば硬いかもしれませんが、噛むほどに味わい深く、肉本来のうまみが強くて味が濃いと思います。近年の健康ブーム、ヘルシー志向もジビエ人気の理由のひとつです。
ジビエは「季節限定」食品です!
ジビエは冬にしか食べられないってことをご存知ですか? 自然の生態系を壊さないように、子供を産み育てるシーズンを避けるため、狩猟してもいい季節が限られているのです。
本来は、日本で言うところのマタギという猟の専門家が狩猟をして、解体して鮮度を保ったまま売って、マタギは生計を立てていました。マタギは山を守り、自然を保存する番人でもあって、そのために、お金儲けのための余分な猟は決してしません。
解体するのは、大変技術がいるそうです。また、鮮度の良い間に素早く行う必要があります。運ぶのも重いしひと苦労。いろいろと厳しい環境の中での仕事なので、年々マタギの仕事をする人は減少し、現在は、シーズン以外は会社員をしている、という人も少なくありません。
さまざまな理由があって、最近は野生の動物が田畑を荒らしたり、大量に数が増えたりしているそうです。ある意味での生態系が崩れているのですね。
それもあって、ジビエを食料としてもう少し食べたほうが良い、ということで、国側でジビエ料理の推奨をしていることもブームの背景にあります。たしかに、もっと気軽に食べられる場所や機会が増えれば、食べる人も増えますね。
いろいろな“おいしさ”があっていい
いろいろな肉を食べることで、「やわらか~い」「ジュワ~ッと肉汁が広がって」というだけが、“おいしい”肉とは限らないのだ、硬くてもおいしい。いいえ、むしろ硬いのが本来のおいしさでもあるかも。
いろいろな“おいしさ”があっていい。そんなことを、子供たちにも教えてあげたいと常々思います。そして、本来は自然の営みの中で、命をもらって私たちは生きているんだ、ってこと、ジビエブームによって、ちょっと意識できればいいなあ、と思っています。
タッパーに入って売っている肉だけが肉ではないんだよ。タッパーに入るまでに、その「肉」も生きていたんだよ、ってこと。ちょっとでも子供たちにも感じてもらいたいなあ、と、ジビエ人気によせて、感じています。
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