9月6日に北海道を襲った地震の被害に遭われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。
今回は、被災時の食の工夫をいくつかご紹介します。まずジップ式ポリ袋と乾物を使った、「パッククッキング」に挑戦してみました。

高野豆腐と乾燥野菜のトマトスープのレシピ

〈材料・4人分〉
高野豆腐(サイコロサイズのもの)…適宜
わかめ(乾)…適宜
乾燥カット野菜(大根の葉など何でも)…適宜
カットトマト水煮(缶)…1/2缶
鶏がらスープの素…小さじ1
*わかめの塩分があるので塩は不要。

〈作り方〉
1.材料をジップ式ポリ袋の中に入れる。「鶏がらスープの素」は、スープの素やだしの素であれば何でも可。袋が小さくて入らない場合は入る分量だけ作るか、いくつかの袋に小分けにする。その際は、トマト水煮と鶏がらスープの素はあらかじめ全部混ぜてから袋に入れると分けやすい。

2.軽く中を揉み、空気を抜いて袋を閉じる。

3.沸いたお湯の中で高野豆腐が軟らかくなる時間(パッケージに表示された時間)まで茹でたら完成。

高野豆腐やわかめ、乾燥野菜がトマト水煮の水分を吸うので、このようにラタトゥイユ状になります。もう少しスープ感が欲しければ、トマト缶全部を入れてみてください。

トマトの代わりに味噌、鶏がらスープの素の代わりに粉末和風だしを使えば味噌汁です。言ってしまえば、自家製レトルト食品作りみたいな感覚ですね。

被災時は精神的にも肉体的にもストレスがかかります。そういうときは、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素が欠乏するのだそうです。それを防ぐためにも、こういう植物性の食品はオススメです。

日本栄養士会雑誌2010年第4号に、以下のような論文が掲載されています。ご参照ください。

ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素─被災者への栄養・食生活支援のために(PDF)

合言葉は「そなえよつねに」

私の友達にボーイスカウト活動に関わっている人がいます。彼は「そなえよつねに」という言葉を私に教えてくれました。

この言葉は、スカウトのモットーなのだそうです。いつ何どき、どんなことがあっても対応できるよう、常に備えておくことで、いざというとき自分の身を守ることができるうえ、自分が無事であればこそ、周りの人々を助けることができるという意味だそうです。彼はそのために防災グッズにも使えるいろいろな道具を揃え、体も鍛え、いざというときどうするかを考えています。

私もいざというときの対処法を考えておくべきだと思いました。それが、災害でお亡くなりになった方々の命を無駄にしないことにもなると思ったからです。

水もガスも使えない! 食中毒を防ぐために必要なもの

被災した場合、せっかく助かったのに病気になっては元も子もありません。被災時においては、食中毒にならないということが、最も大事だと思います。

しかし、被災地では断水していたり、水を節約しなければならなかったり、ガス・電気が止まっている場合も多いです。食中毒予防のためには洗浄や加熱が大事ですが、被災時はそれらが困難になるのです。

そこで、準備しておきたいのが以下です。

・ラップ
・紙皿、紙コップ
・割り箸
・除菌ウェットティッシュ
・ジップ式ポリ袋

ラップは、料理を盛り付ける器に貼り付けます。食べ終わったらラップを剥がして捨てます。そうすれば、器を洗わなくて済みますから、水の節約になります。

紙皿、紙コップ、割り箸も、使い捨てです。節水しつつ、食中毒を防ぐためにも、備えておくべき必需品です。

除菌ウェットティッシュは、使った後の包丁やピーラー、キッチンばさみを拭いたり、生で食べられる野菜の表面を、磨くように拭いて、そのまま食べたりできます。野菜の皮を剥かずに食べられそうなものは、みそなどをつけて、そのままいただきましょう(余裕があれば薄切りを軽く塩で浅漬けに)。ティッシュは香りのないものを。

ジップ式ポリ袋は、中に切った食材と調味料を入れ、お湯の入った鍋で加熱すれば、一つの料理が完成します。それだと鍋の中の水はそのままなので、また別の袋に別の食材と別の調味料を入れて加熱すれば、水を節約して、違う味の料理を作ることができます。

携帯ガスコンロは必要になりますが。ジップ式ポリ袋がなくても、普通のポリ袋を二重に縛れば良いようです。こういう調理法を「パッククッキング」というのだそうです。

あと、調理に酢を多用するのも、食中毒予防の効果が期待できるのではないかと思います。過大な期待は禁物ですが。

常備しておきたい食品類

・戻さなくても食べられる乾物
・自然解凍タイプの冷凍食品
・加熱しなくても食べられるレトルト食品
・缶詰、無菌パックご飯
・お湯を注ぐだけで食べられる乾燥あるいは生タイプ食品(即席味噌汁やお吸い物、キューブのフリーズドライスープなど)

「戻さなくても食べられる乾物」とは、かつお節、煮干し、のり、青のり、桜えびなどです。

「自然解凍タイプの冷凍食品」とは、加熱しなくても自然解凍で食べられるとパッケージに書いてあるもののことです。停電になったら自然解凍が始まるので、あまりたくさん貯蔵しても意味はありません。

「加熱しなくても食べられるレトルト食品」には、江崎グリコの「温めずにおいしく食べられるカレー職人」などがあります。

乾パンやアルファ化米は「おいしくない」「味気ない」とよく言われます(私はおいしいと思いますが)。それら室温長期保存を目的にしたものも重要ですが、中期保存のレトルトや無菌パックご飯などを買っておき、日頃から賞味期限切れ前に食べて買い足すようにしておけば、防災袋のチェックや防災意識の再確認にもなり、一石二鳥だと思います。

つまり、食べずにずっと貯蔵しておくのではなく、時々食べきって、最新のおいしい保存食を開拓して買い足すのです。

またアレルギー食や腎不全患者のための低たんぱく食など、治療食対策も非常に重要です。もよりの大型病院や保健所などに、あらかじめ大型災害時の対策はどうなっているか、どうすべきか、確認しておきましょう。

一般の方はまだまだ、アレルギーのことを「食わず嫌い」と勘違いしている場合も多いです。災害時の避難所等での食の確保には、常日頃から留意しておきましょう。

水浸けパスタで水とガスの節約を

今年の1月、警視庁警備部災害対策課がツイッターで水やガスの節約になる「水浸けパスタ」について書いたことが、ネットニュースやSNSで話題になりました。「iPod Style」のホームページには作り方が写真付きでわかりやすく書かれてあるので、参考になると思います。

防災スタイル:乾燥パスタを水に浸してビニール袋調理

ひとこと付け足すならは、パスタ(乾麺であれば何でも)を水に浸けるとき、30〜1時間程度ではなく長時間浸けるなら、お酢を大さじ1杯程度入れておくと、食中毒のリスクを減らせるのではないかと思います。その程度の量だと味には影響しないと思います。

戻したパスタに「松茸の味お吸い物」(永谷園)を加えて作った「松茸風味のパスタ」です。キャベツも足しました。

最後に「日本災害食学会」という団体があります。ホームページがありますので、参考になさってください。

食品をしまい込むのはNG 見やすく保管して古いものから食べて

食品の備蓄品は棚などの奥にしまい込むのではなく、できるだけ取り出しやすいようにしておかないと、定期的に食べきるつもりでも、忘れてしまいがちになると思います。いざという時にすぐ持ち出せるよう防災袋に入れ、身近な場所に置いておくことをオススメします。

定期的に食べきるのではなく、こまめに古い順から食べていく方法(ローリングストック法といいます)の場合も、古いものを奥にしまい込んでしまうと実行しにくいので、見える所に順番に横に並べるとか、新しいものは奥にしまって常に一番古いものが前に出るようにするとか、引き出し式のクリアケースにしまうなど、各家庭で工夫して実践し、防災意識を日頃から高めていきましょう。

家族の中の一人だけがわかっているのではなく、家族全員が情報を共有することも大事です。