サントリースピリッツは国産クラフトジンの和食業態への提案を積極化する。17年7月発売の「ROKU(ロク)」は日本独自のボタニカル(草根木皮)を使うことで、和食にも合うのが特徴。従来は食後酒のイメージが強いジンだが、相性の良い和食を中心に食中での飲用を促していきたい考え。焼酎と同じ蒸留酒でボトルの外観も似ていることから和食店で焼酎との切り替えが進む可能性がある。

ロクは設計段階でカクテル「ジントニック」での飲み方を想定していたが、ウイスキーハイボールの広がりとともに炭酸で割る飲み方が浸透していることを受け、炭酸で割る「六ソーダ」の提案を1月から本格化。バー業態のほか食業態に食中酒として浸透を図る。

3日のブランドセミナーで、清水悟リキュール・スピリッツ・焼酎部部長は「バーテンダーや飲食店から高評価を得ている。従来のジンのイメージを超えてさまざまな業態に提案していきたい」と強調した。

ロクの魅力を報道陣に説明した清水悟リキュール・スピリッツ・焼酎部部長(右)と鳥井和之商品開発研究部専任シニアスペシャリスト

ロクは桜花や煎茶、ユズなど日本の四季を感じられる旬の和素材6種を使い、サントリーの大阪工場で製造される。四つの異なる単式蒸留器で素材ごとに蒸留した後、ブレンドする。「桜はステンレス釜で減圧蒸留することで焦げたような香りを抑える」(鳥井和之商品開発研究部専任シニアスペシャリスト)など工夫を凝らす。

日本のほか、世界13ヵ国でも展開している。ジンの本場英国をはじめ、ドイツやフィリピン、中国で販売。10月からはジンの最大市場である米国で売り出す。

国内ジン市場は高級ジンを中心に拡大が続く見通し。17年7月発売のロクは国内高級ジン市場のトップブランド。1本4000円する高級品だが、ほのかな甘みとバランスの良い味わいが特徴でバーテンダーからはカクテル材料として高い評価を集める。

◇日本食糧新聞2018年7月9日号の記事を転載しました。