「日本一大きな蕗(ふき)」として知られる北海道十勝地方足寄町のラワン蕗(ぶき)は今が旬。専用農場でラワン蕗狩りが開催され、この時期ならではの香りと味を楽しめます。北海道知事が提唱し、次世代に継承したい有形無形の財産から北海道民の宝として選出され、2001年に北海道遺産に認定されました。
農場は子供のころ絵本で見たコロポックルの世界がそのまま広がっています。大きいものは高さ2~3mになり、葉の直径も1mほどです。爽やかな山の風味、森林浴のような香り、みずみずしくシャキシャキした食感が特徴です。その部位ごとに食感や味わいを楽しめます。今回は部位ごとの大きさに向く調理法、切り方をご紹介します。

女性にうれしい食材! 北海道足寄町の名産ラワン蕗

ラワン蕗はあくが少なく、カルシウムやマグネシウム等のミネラル分が豊富で食物繊維、ポリフェノールを含んだ女性に嬉しい食材です。2016年に全国学校給食甲子園で、ラワン蕗や町産食材を使った献立が高く評価され、参加2004校の頂点、日本一になりました。

ラワン蕗畑に入り、鎌で根元から切ると切り口から水が出ます。それが新鮮な証です。下ごしらえから料理する間、森林浴の香りに包まれてはいかがでしょうか。

<ラワン蕗の茹で方>

  1. 使用する鍋の大きさに合せてラワン蕗を切る。(半端が出ても刻む料理に使えるので気にしない)
  2. 鍋に湯を沸かし塩1つまみ入れ、太い蕗は5分ほど、上部の細い蕗は2分ほど茹でたら冷水に取り皮をむく。
  3. 長期保存の場合は塩漬けにする。
  4. 塩漬けの蕗を使用する場合は、一晩水に漬け塩抜き状態を確認する。

【細い蕗】保存食や炊き込みご飯にオススメ

ラワン蕗と海苔の佃煮

<材料>
ラワン蕗 100g
焼海苔 全型3枚
生姜みじん切り 小さじ1
酒・みりん・醤油 各大さじ1
キビ砂糖 小さじ1
胡麻油 小2

<作り方>

  1. ラワン蕗は5mm幅の小口切りにする。
  2. 鍋に胡麻油を入れ火を付けラワン蕗と生姜を炒める。
  3. 全体に油が回ったら調味料を加え、さらに3cm四方に切った海苔を加え、水分がなくなるまで煮詰める。
  4. 冷めたら瓶などで保存。あつあつご飯にぴったり。

炊き込みご飯

<材料>
米 2合
ラワン蕗 100g
人参 30g
油揚げ 小1枚
梅干 1個
昆布 5cm四方1枚

<作り方>

  1. ラワン蕗は5mm幅の小口切り、人参は粗みじん切りにし、油揚げは横半分に切り細切りにする。
  2. 炊飯器の内釜にといだ米、具材、梅干、昆布を入れて2合分の水加減にし、酒・みりん・だし醤油各大1・塩少々(材料外)を入れスイッチを入れる。
  3. 器に盛りつけ、ラワン蕗が一箇所に固まらないよう適度に散らす。

【中くらいの蕗】煮物やカレーにも

ラワン蕗の豚肉巻き

<材料>
ラワン蕗 15cm程 3本
豚バラ肉薄切り 6枚
米粉 適宜
白胡麻油 小2

[たれ]
酒・みりん・醤油 各大さじ1
キビ砂糖 小さじ1
胡麻 適宜

<作り方>

  1. ラワン蕗に軽く米粉を振り、豚バラ肉をしっかり巻きつける。途中で肉が切れたら2枚目の肉をしっかり重ねて巻きつける。
  2. フライパンに白胡麻油と(1)を入れ、表面にこんがり焼き目が付くまで転がしながら加熱する。
  3. 調味料を加え、水分がなくなって照りが出るまで火を通す。
  4. 好みの長さに切り揃え器に盛りつける。

ラワン蕗と車麩の煮物

<材料>
ラワン蕗 15cm程度 5本
車麩(直径4cm)10個

<作り方>

  1. ラワン蕗は5cm長さに切り揃え、車麩は水で戻して軽く水気を絞る。
  2. 鍋にラワン蕗を入れ、ひたひたの昆布だし(材料外)を加え酒、みりん、薄口醤油各大さじ1(材料外)を加え加熱する。
  3. 沸騰してきたら火を弱め車麩を加え15分ほど煮込む。
  4. 器に盛りつけ木の芽を添える。

切り方を変えて香りと食感を楽しむ

中くらいの蕗(20cm)を斜め薄切りにし、ひたひたの水を加えブーケガルニ(市販)1袋を加え、10分ほど煮込みます。カレーにトッピングとして加えるとひと味違う森のアロマに包まれます。他の葉野菜とサラダにしてもハーブの香りと食感で楽しめます。

【太い蕗】縦に細切りや形をそのまま活かして詰め物料理に

蕗とチリメンジャコの山椒風味キンピラ

<材料>
蕗 20cm程度 1本
チリメンジャコ 20g
生姜みじん切り 小さじ1
胡麻油・酒・味醂・薄口醤油 各大さじ1
キビ砂糖 小さじ2
山椒粉、木の芽 適宜

<作り方>

  1. 蕗は3等分に切り、縦に開き細切りにする。
  2. チリメンジャコは熱湯をかけ水切りする。
  3. フライパンに胡麻油を入れ、温まったら生姜と蕗を加え全体に油が回ったらチリメンジャコと調味料を加える。
  4. 水気がなくなるまで加熱し、仕上がりに味を見る。足りなければ調味料を足す。
  5. 出来上がりの際に山椒を振り、器に盛りつけ木の芽を添える。

蕗の素麺詰め、くず餡仕立て

<材料>
大きめの蕗15cm 2本
油揚げ(17cm長さの京風) 1枚
素麺 1輪
水菜 少々
昆布出汁 400cc
酒、みりん、薄口醤油 各大さじ2
葛粉 適宜

<作り方>

  1. 油揚げを開きさっと水をくぐらせた素麺を芯に巻く。
  2. 蕗に(1)を詰める。素麺がはみ出るが切って盛りつけるのでそのまま入れる。
  3. 鍋に出汁と(2)を入れ加熱してきたら調味料を加え、時々蕗を転がしながら煮る。
  4. 鍋の大きさによって出汁のかかり方が違うので蕗が顔を出しすぎていたら適宜だしを増やす。
  5. 15分ほど煮ていったん蕗を取り出し、残りの煮汁に水溶きした葛を加えとろみを付け水菜を加えさっと火を通す。
  6. 蕗は海苔巻きの容量で端を切り2cm長さに切り、水菜と器に盛りつけ葛餡をかける。