大根の辛味がクセになる!会津ならではの「高遠そば」という食べ方
こんにちは! 生まれも育ちも福島県会津地方のたべぷろ編集部員・結城助助です。
福島県会津地方は、全国でも屈指の蕎麦の名産地。磐梯町や喜多方市山都地区の蕎麦は、香りも良くのど越しも抜群と評判です。
そんな会津地方にはほかの地域にはない蕎麦の食べ方があるので、今日はその食べ方をご紹介したいと思います。
辛味大根のしぼり汁で
会津地方には、古くから「高遠そば」という蕎麦の食べ方があります。蕎麦というと、「ざるそば」や「かけそば」などがポピュラーかと思いますが、会津地方ではこの「高遠そば」もポピュラーな食べ方の一つです。高遠そばの特徴は、なんといってもそのつゆ。
写真を見ていただくとわかりますが、白く濁っていますよね。これは「アザキ大根」と呼ばれる辛味大根のしぼり汁。
ここに味噌やそばつゆ、あるいはその両方を入れて、お好みで薬味を加えていただきます。
基本的に高遠そばは冷たい状態で提供されます。
会津若松市内では、このように辛味大根のしぼり汁で食べる食べ方を「高遠」といいますが、会津地方の一部にはネギを箸代わりにして蕎麦を手繰る食べ方を「高遠」というところもあるようです。
辛味の元は「アザキ大根」
高遠そばに欠かせないもの……それは、「アザキ大根」という特別な大根です。この大根はもともと野生に自生していた大根で、私たちがスーパーでよく見かける青首大根よりも辛味が強いのが特徴です。形も一般的な大根に比べて短く、ごつごつしています。
アザキ大根が自生しているのは、全国でも奥会津の「金山町」だけ。
5月ごろになると、太郎布高原(たらぶこうげん)をアザキ大根の花が薄紫色に染め上げます。
高遠そばには欠かせないアザキ大根ですが、アザキ大根は花が咲いてしまうと辛み成分が少なくなり、風味が薄れてしまうと言われています。
ルーツは信州高遠藩
会津ならではの食べ方「高遠そば」ですが、そのルーツは信州高遠藩にあります。高遠藩の殿様だった保科正之(ほしな まさゆき)が会津藩にやってきたときに信州高遠藩で食べられていたそばの食べ方を伝えたのです。
保科正之は大の蕎麦好きとしても知られており、会津藩だけでなく出羽山形藩や江戸にも信州のそば文化を広めたと言われています。
昔の高遠そばは、辛味大根のしぼり汁に焼き味噌を溶かして食べるのがポピュラーな食べ方でした。しかし、時代が下るにつれて醤油や鰹節が庶民にも手に入りやすくなり、徐々にそばつゆを加えて食べるスタイルに変化していったのです。
さっぱり食べたい人はそばつゆだけを加えて、パンチのある味わいを楽しみたい人は焼き味噌やもろみなども加えて食べるのがおすすめです。
大根の辛味がクセになる!通好みの食べ方
出された蕎麦猪口には、辛味大根のしぼり汁のみが入っているため、一瞬「これで食べるの……?」とひるむ方もいらっしゃるでしょうが、一度食べればハマること間違いなしの高遠そば。
ぜひ、自分好みの高遠そばを探してみてください。会津若松市内の蕎麦屋さんには、必ずと言っていいほど高遠そばがあります。お店によって焼き味噌が添えられていたり、そばつゆだけだったりと個性もあるので、食べ比べてみるのもおすすめです。
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