こんにちは。九州の管理栄養士の大山加奈惠です。博多(九州)以外ではあまり知られていない、博多のソウルフードが「ごぼ(う)天うどん」です。県外の人は「ごぼ(う)天」と聞くと、魚肉のすりみにごぼうが入ったおでんの具材を思い浮かべる人もいますが、その名の通り、ごぼうに天ぷら粉をつけて揚げたものなんです。
今回はその「ごぼ(う)天うどん」のルーツと、自宅でもできるうまみたっぷりの「ごぼ(う)天うどん」のレシピをご紹介します。

うどんは博多が発祥の地! 博多っ子はラーメンより、うどん

福岡はラーメンのイメージが大きいですが、ラーメン屋と同じくらい多いのがうどん屋です。私もお昼を簡単に済ませたい時や麺を食べたい時に選ぶのは、ラーメンよりも、うどん。やっぱり栄養士という職業柄、カロリーが気になるのが一つの理由ですが、うどんを選ぶのは、具材をトッピングできることと、だしを味わえるから。

博多駅から歩いて10分のところに、承天寺(じょうてんじ)という禅宗のお寺があります。宗出身の貿易商、諸国明の助力を得て弁円(聖一国師)が鎌倉時代に開いたお寺です。門の隣に饂飩蕎麦(うどんそば)発祥之地碑という石碑があります。

そのわけは、聖一国師が中国から持ち帰った、製粉技術が記された設計図。その技術のおかげで、うどん、そば、饅頭などの粉もの文化が広がったと言われています。

そして、博多には欠かせない夏のお祭り、山笠。この山笠も承天寺が発祥の地なのです。当時流行していた疫病を退散するため、聖一国師が木製の施餓鬼棚に乗り担がれて、疫病退散を祈祷して聖水を撒いて町中を回ったことが博多祇園山笠の起源とされています。

うどん、山笠。どちらも博多には欠かせないもの。博多っ子のルーツ。山笠は7月1日から7月15日まで行われます。ぜひこの期間に博多に来て、山笠とごぼう天うどんを体験してみませんか。

博多祇園山笠の情報なら山ナビ2018!
承天寺 福岡市公式シティガイド よかなび

魚介系の旨味と甘めの味付け。それが博多うどんのスープの特徴

博多のうどんのダシは、しっかり魚介の風味が感じられるのが特徴です。つゆは透明で、あご(トビウオ)、煮干し、鯖節、煮干しに昆布を使って取るのが一般的です。味付けは関西と同じく薄口醤油を使うので、スープの色が薄いのです。ダシの風味がしっかり味わえます。

湯気からも美味しさが伝わる、日本人が大切にするだし文化

砂糖やみりんを入れてちょっと甘めの味付けにするのも博多風。九州は醤油、みそ、寿司酢も甘めが好まれ、うどんスープも同じなんですね。

だしは日本食の基本ですが、そのだしも材料や味付けで、地域独自の食文化がなりたっています。博多のうどんを食べることが、日本のだし文化を伝承しているのだなと、私も改めて実感してしまいました。これからも博多のソウルフードとだし文化を大切にしていきたいです。

だしを飲み干す「ごぼ(う)天うどん」 レシピ

博多のうどん屋さんでは、あごだしを使うところも多いですが、自宅で作る時はいりこで十分に魚介のだしが取れますよ。

普段はうどんスープや、即席だしを使うかもしれませんが、一度しっかりダシをとってうどんスープを作ってみましょう。なんと15分で専門店にも負けない本格うどんスープが出来上がりますよ!

トッピングにはもちろん、ごぼ(う)天♪ 他の具材はお好みで。今回は夏の野菜を一緒に添えてみました。

魚介の濃いめのダシと、ごぼう天、野菜の相性がバッチリ

(材料)3人分
水 1L
いりこ 10g
かつお節 20g
利尻昆布 10cm
<1>みりん 大さじ1
<2>酒 大さじ1
<3>塩 小さじ1/2
<4>砂糖 大さじ1
<5>薄口しょうゆ 大さじ2
<6>酢 小さじ1

(具材)
ごぼう 1本
天ぷら粉 適量
水 適量
なす 1本
おくら 3本
うどん 3玉
レモン 適量

(作り方)

  1. だしをとる。いりこは頭と腹わたを取る。鍋に水、昆布、いりこを入れて中火にかけ、10分ぐらいかけて沸騰させる。昆布が柔らかくなったら、昆布をとりだす。かつお節を加えて、ひと煮立ちしたら火をとめ、あくをすくい、しばらくおいておく。ざるにふきんをしき、だしをこす。
  2. (1)のだしに、<1>から<6>まで順番に調味料をいれて、味付けをする。
  3. うどんをたっぷりの湯でゆでる。ざるにあげて、水で締める。
  4. ごぼうをささがきにする。酢水につける。ごぼうに天ぷら粉をつけて、160度の油であげる。なすは薄切り、オクラは斜めに半分に切り、160度の油で素揚げする。
  5. 温めた汁に、うどんをいれて、上にごぼ天、なす、オクラをおく。レモンを飾る。