台湾在住のたべぷろ編集部員HOZです。日本の端午の節句は5月5日ですが、同じ節句でも台湾の端午節は農暦(旧暦)5月5日 に祝われるため、西暦のカレンダー上では毎年ちょっとずつ日付が異なります。 2018年の端午の節句は6月18日。台湾ではこの日にドラゴンボートでレースをしたり、粽子(ちまき)を作って食べたりします。
節句で食べるちまきは、実はいろいろと種類があるのをご存知でしょうか? 種類豊富な台湾のちまきのうち、3種類をご紹介いたしますね。

【北部粽】蒸して仕上げる北部式ちまき

ちまきを作る時に用いるのはもち米ですが、北部のちまきはまずもち米を水に浸しておき、お米が水を吸ったら水を切って五香粉や醤油などの調味料を加えて炒めます。

お米にある程度火が通ったら、あらかじめ調理しておいた豚肉、あひるの卵の黄身の塩漬け、しいたけ、ピーナッツなどを加えて、茶色い竹の葉に三角形に包んで蒸します。

こうして出来上がったちまきはお米一粒一粒の形がはっきりと残っていて、おこわのような食感になります。

お米の形がしっかりと残っている北部粽

今回私は台北の南門市場というところにある有名なお店で出来上がったものを購入してきましたが、出来合いのものを買ってきた場合など、一度冷めたものや冷凍したものを再度温めて食べる時にも、もう一度蒸し直す必要があります。

台湾だと電鍋という台湾ならではの調理器具を使って調理することが多いのですが、ない場合は炊飯器などを使って蒸すと便利です。

台湾人の友人いわく電子レンジがあるならそれで温めてもいいとのことでしたが、やはり蒸した方が格段に美味しいとのことです。

【南部粽】茹でて仕上げる南部式ちまき

北部のちまきと違い、南部の粽は煮ることによって完成します。使用する材料は北部粽とほぼ同じですが、南部ちまきの場合はもち米を水に浸した後、調理した材料と共に緑の竹の葉にくるんで、それを水で煮ます。ちまきの調理法としてはこちらの方がより伝統的であるのだそうです。

茹でて仕上げるため、お米の形があまり残っていない南部粽

こちらのちまきも完成したものを購入しましたが、食べるときは自宅で煮る必要があります(沸騰したお湯で18分程度煮ます)。

直接水に入れて煮るので、当然お米は北部粽より柔らかく、ややベチャベチャとした食感になります。とはいっても葉を開ければきちんと三角形をしており、それを箸で崩して美味しくいただきました。

【客家粿粽】おもちみたいなちまき

ちまきと言ったらお米の粒が残っているものを想像するかもしれませんが、実はそうでないものも存在します。台湾のなかでも客家人の作る客家粿粽は、もち米粉を使って作るちまきです。粉から作るため、当然お米の粒は見当たりません。

まるでお餅のような客家粿粽

作り方はお団子のようで、もち米粉に水や砂糖を混ぜて生地を作った後、調理した豚肉やしいたけなどを包んで笹の葉で包みます。北部粽と同じで、最終的には蒸して完成です。味はお餅に近いのですが、お餅よりさらにプルプルとして柔らかく、やや粘り気が少ないです。

上記の2種や他のちまきに比べてやや小ぶりで生地に甘みがあるため、おやつのように食べられます。

端午の節句の由来は

たべぷろでは以前、中国のちまきについてご紹介しています。

1年分を端午節に食べる?中国での「ちまき」の食べ方

どうして台湾でこのように端午の節句をお祝いするようになったのかというと、起源は中国の春秋戦国時代まで遡ります。

中国の戦国時代、現在の湖北省から湖南省に位置するあたりに、楚という国がありました。楚に仕えた優秀な文官に屈原という人がいました。屈原といえば「世を挙げてみな濁れるに、我ひとり清めり。衆人皆酔えるに、我ひとり覚めたり(『漁夫辞』より)」という詩で有名な人です。その屈原が楚の未来を憂いて入水をはかったのち、彼を敬愛する楚の人々が彼の遺体を探すため船を出し、遺体が魚に食べられないよう河にちまきを投げ入れたのがこの節句のドラゴンボートレースとちまきの由来であると言われています。台湾の三大節句のうちのひとつです。