九州各地でも次々と蔵開きとなり、日本酒ファンの皆さんは、おいしいお酒を求めてワクワクする季節ですね。今回は、家飲みにピッタリ!今が旬のアテ料理を紹介します。
友達と、家族と、おいしいお酒にちょっと粋な旬の食材を料理してみてはいかがでしょうか。

春の魚屋さんといえば…

今が旬の海産物といえば、まずは貝類。潮干狩りも楽しいこの季節、アサリにハマグリ、アカガイなど二枚貝が魚屋さんにずらりと並びます。

サザエ・バイ貝・トコブシなど、和食屋さんではよく見かけるものの、家庭の食卓にはちょっとのぼりにくい貝類も、今がシーズンです。アマエビやシャコは産卵期で卵を持っているので、今しか味わえないおいしさがあります。

私の暮らしている福岡市では、白魚漁が始まっています。料亭の軒先には「しろうお」の提灯が掲げられます。博多の春の風物詩です。

先日、川べりを散歩していると、白魚をとる仕掛けの周囲にお腹を空かせたカモメがずらりと整列し、おこぼれにあずかろうとしていました。生きたままの白魚を食す「踊り食い」は博多の名物で、お祭りの金魚同様ビニールの袋に入れて売られています。料亭でも家庭でも、白魚の喉ごしが楽しめます。

今回は、白魚ではないですが、家庭でも簡単にできる、日本酒にぴったりな季節のおつまみを紹介します。

たまごがコリコリ美味しいシャコ

<作り方>

  1. シャコはざっと洗ったら冷水でよく締めておきます。できるだけ生きた状態で購入しましょう。
  2. 沸騰したお湯に塩をたっぷり入れ、シャコを加える。
  3. 再び沸騰したら4分、ザルにあけて水をきる。

シャコの殻剥きは、よく切れる調理バサミが便利です。頭を落とした後、尾っぽから首まで両腹を5mm程度しっかりと切り落とすと簡単に剥けます。頭の横のハサミにも身が詰まっています。

そのまま食べるのはもちろん、塩コショウにレモンとオリーブオイルでマリネにしても、おいしいですよ。

アゲ巻貝の酒蒸し

アゲ巻貝といえば、バター醤油が人気ですが、香りが引き立つ酒蒸しもとってもおいしいです。

<作り方>

  1. アゲ巻貝は貝殻の縁に沿って汚れがついていることがありますので、少し引っ張って綺麗にしてください。無理をしなくても、蒸しあがりにも簡単に外れます。
  2. 鍋にアゲ巻貝を並べ、酒をまぶしかける。
  3. 蓋をして約1分、貝の蓋が開いたら完成

お好みでレモンを絞っても、おいしいです。

空豆のクリームチーズ白和え

箸休めに一品。空豆も今が旬のおいしい食材です。洋風にも和風にも感じられる白和えは、日本酒だけでなく白ワインにもよく合います。

<材料>

  • 木綿豆腐 1/4丁
  • 米味噌 小さじ1
  • クリームチーズ 大さじ1
  • 空豆 お好みで

<作り方>

  1. 木綿豆腐は重石をして、よく水を切っておく。
  2. すり鉢に米味噌を擦り、豆腐、クリームチーズを入れてさらによく擦り滑らかにする。クリームチーズにも塩分があるのでこの時点で味を決める。
  3. 空豆はあらかじめ茹でて皮をむいておく(焼いてもよい)。
  4. 2と空豆をさっくりと混ぜ合わせる。

粋な珍味と、憧れの食卓

私は辰巳芳子(たつみ・よしこ)さんの本が好きで、何冊も読んでいます。なかでも、お母様の浜子さんのエピソードに憧れています。

辰巳浜子さんといえば、料理研究家の先駆けとして著名なかたです。ご本人は「料理研究家」という言葉が嫌いで、主婦だと自称なさっていたとのことですが、そうした考え方にもとても共感できます。

浜子さんはご主人のことをとても尊敬し愛していたので、常に心を込めてお料理を作っていました。ご主人と囲む食卓には、必ず珍味を用意していました。喜んでもらいたい一心で。

いつも食事は、気の利いた珍味と一杯から始まります。次に香りのあるお浸しを出します。細やかに間を考え、食材を余すところなく使う。そこには、繊細で几帳面で無駄を嫌う、美しい気配りがありました。

辰巳さんの本を読んでいると、家庭料理の中にも芸術のような高みがあるということがわかります。

美しい食卓に、旬の珍味は欠かせないものです。旬の魚介でも、もちろんお野菜でも。ちょっと一息、毎日の疲れをホッと癒して喜んでもらえる、そんな家庭料理を追求して行きたいものですね。