千葉県南房総在住のたべぷろ編集部員・原みりかです。今回は、千葉県に昔から伝わる「太巻き祭り寿司」をご紹介します。地元食材で描かれたアートは見た目にも豪華! 南房総のスーパーや道の駅でも販売され、あっという間に売り切れる人気商品です。 「太巻き祭り寿司」を自分でも作れたら…南房総へ移住後感じたそんな想いで、歴史と一緒に作り方を学んできましたのでご紹介しましょう。

千葉の「太巻き祭り寿司」の歴史

「太巻き祭り寿司」は、地元産の食材を使い、冠婚葬祭や地区の集まりなどのごちそうとして古くから作られ、受け継がれてきた千葉県の郷土料理のひとつです。

私が住む鴨川市は田園風景が広がり、温暖な気候を活かした稲作がさかんな地域です。古くから有数の米どころとして知られており「長狭米」という品種が生産され、皇室への献上米としても有名です。白米として食べる以外にも清酒造りにも使用されています。

その長狭米と地元産の野菜や卵を使って「太巻き祭り寿司」は作られ、郷土の味を守り伝えられてきました。

複雑な絵柄は千葉県の太巻き祭り寿司の特徴のひとつです。季節や催事に合わせた模様を作ることで「作っても見ても楽しい!食べてもおいしい!」と千葉県の郷土料理として長年継承されてきたのです。

甘い味が特徴の「太巻き祭り寿司」

「太巻き祭り寿司」は千葉県の季節食材を使う「千産千消(地産地消)」を基本に、かんぴょう・椎茸・人参・菜の花などの具材を酢飯で包み、玉子焼きや海苔で巻いたお寿司です。もちろん、中に入れる具材はなんでもよく、さまざまな材料を使って絵柄を表現しています。

昔、砂糖が貴重だった時代のなごりから玉子焼きや具材にも多くの砂糖を使用しました。卵焼き器で厚めに焼いた玉子焼きは、砂糖が貴重だったころのもてなし料理であり、日持ちを良くするために砂糖が多く使われたのです。

祭りやイベントの時に作られることが多く作り置きができることから、もてなし料理として、また、来客の土産にも重宝されました。

現在では使う砂糖の量は減りました。家庭で作る時は、自分好みで加減するとよいでしょう。

伝統の技を継承するための「太巻き祭り寿司」作り方教室

昔はどこの家庭でも作っていましたが、複雑な技から現在は作る家庭も少なくなりつつあります。

インターネットで作り方が紹介され、本も発売されたりしていますが、見ただけでは技術の習得はむずかしい面もあります。

地元でも作り方を知らない人も多くなり、作れる人も減ってきています。そこで、ひとりでも多くの方に昔の技を伝え続けるために、地域で体験教室が開催されています。昔の知恵を若い人へ…農家のお母様方が講師になって教えてくれます。

南房総は観光地でもあり、多くの観光客が訪れます。四季折々の自然を満喫した後に、郷土料理の食体験も楽しいものです。

体験プログラム:かもがわナビ

桃の太巻き祭り寿司のレシピ

今回、一度も作ったことがない筆者が「太巻き祭り寿司作り方教室」に行ってきました。

<材料:太巻き1本分>
白酢飯:250g
ピンク色酢飯(粉末食用酢を使用):150g
厚焼き玉子(のり一帖と同じ大きさに焼く):1枚(卵4個分)
紅しょうが:大1
桜でんぶ:大1
かんぴょう(煮つける):海苔横幅の長さ3本
青み野菜(今回はほうれん草):60g位

<作り方>

1. ラップにピンク色酢飯(150g)をのせ、海苔の横幅と同じ長さの楕円形に形作っておく。
2. 厚焼き玉子をまきすの上にのせ、上下を二分する形で白酢飯(175g)をひろげ、酢飯でV字の溝を作り、そこに二つ折りにした海苔を立てる。

3. V字の海苔の溝に、紅しょうが・桜でんぶの順に入れ、1のピンク色酢飯をのせ、白酢飯(50g)をのせる。

4.海苔を持ち上げるように端を上で合わせ、あまった部分は折り曲げる。頂点にかんぴょうをのせて、その両端にほうれん草をおく。
※ほうれん草は根と葉が交互になるようにおく

5.まきすの両端を持ち上げて寄せる。軽く曲げた手のひらに、まきすごと持ち、かんぴょうとほうれん草の上に残りの白酢飯(25g)をひろげ、玉子焼きの端と端を合わせる。

6.まきすの端からくるくるときつく巻き直し形作る。巻いたお寿司の両端をぬれ布巾で押さえてから切り分ける。(合わせ目は下側)

※切り分けるときは、包丁をぬれ布巾で一度拭き、のこぎりで切るように前後に包丁を動かして切ると上手く切れます。

レシピ参考元:安房地域農家生活改善研究会 資料より

さまざまな絵柄があり、中でも花の絵が華やかで目をひきます。花以外にも、動物やおめでたい文字、アニメやご当地キャラの絵柄も考案されており、選ぶのが楽しくなります。

絵柄参考資料:食と農の体験工房「花味結」(PDF)

食べてみたーいあなたへ!通販もあり

自宅では材料の準備が大変で、巻く技術の習得はむずかしいもの。でも一度食べたい、見てみたい!

そんなときは、地元で手作りした太巻き祭り寿司の通信販売があります。絵柄も豊富なので選ぶのも楽しいですね。イベントに合わせてお取り寄せしてみるのもよいでしょう。

販売元:食と農の体験工房「花味結」

これから春のイベントが多くなる季節です。一度ご家庭でもチャレンジして作ってみてはいかがでしょうか。ぜひ温暖な千葉県南房総にもお越しいただき「太巻き祭り寿司」を味わってみてください。