近年、オリーブオイル人気が高まっています。健康のために使い始めた人々も、その香りや味に魅せられて料理に合わせて使い分けるなど、自在に楽しめるようになってきました。ハーブとオリーブオイルを研究し続ける北村光世さんが新刊本で提案するのは「おいしい処方箋」。北村さんが専門とするハーブと合わせ、いまの時代に合ったオリーブオイルの使い方を聞いてみました。

オリーブオイルとの出会いはアメリカ 香りも薬効もある「油性のハーブ」

オリーブオイルもハーブも、ヨーロッパや地中海のイメージでしょう?でも、私はメキシコで土着のハーブに出会って、その後アメリカでオリーブオイルに出会いました。

オリーブはスペイン人がアメリカ大陸に入った時に、一緒に持ち込まれました。だから、アメリカのオリーブはスペイン品種が多いようですね。

私自身、ハーブとオリーブオイルを最初は別々に考えていたのですが、オリーブオイルには香りも薬効もある。ということは、これはハーブだと気づき、いまでは「油性のハーブ」と位置づけて紹介しています。

昔、ヨーロッパでは心臓病が多く、社会問題になっていたことがありました。アメリカのアンセル・キーズ博士が世界7カ国でその調査に乗り出し、地中海には心臓病やいまで言う生活習慣病がないことを発見しました。その要因は、地中海型の食生活だということが判明し、その中心にオリーブオイルがあることが分かったのです。

私も研究しましたが、オリーブオイルは健康面でのネガティブさがまったくない。これからの日本人の食生活に必要なのはこれだと思い、身近な日本料理にもオリーブオイルはとてもよく合うことを知ってほしくて、今回この本をつくりました。

めくるめくハーブの世界 あなたの食生活に合わせて選んでみて!

「初心者にも使いやすいハーブを教えてください」とよく聞かれるのですが、まずは自分がどのような料理をするのか、何を食べたいかについて、分かっていることが大切。その上で多年草を数種類と一年草を好きな料理に合わせて植えておくといいですね。

イタリアンが好きならバジルやイタリアンパセリなどがおすすめです。お茶を楽しみたいならミント系。ペパーミントは香りも味も強いので、少なめにしてレモン系などとブレンドしても。レモン系でも、レモンバームは一年草ですがレモングラスやレモンバーベナは多年草なので、一緒に植えておいてもいいかもしれませんね。スペアミントは甘味もあってお料理にも使いやすいので、初心者にはオススメです。

和食には、ミント、しそ、三つ葉、山椒などがいいかしら。三つ葉や山椒をお茶に加えるのもいいですね。いろいろなハーブに熱湯を注いで飲んでみてください。そうすると、自分の好きなものが分かってくると思います。

オリーブオイルは素材の魅力の引き出し役 単品料理からチャレンジしてみよう

オリーブオイルを知ってから、本場での栽培や料理を見たくなって、スペインに行きました。料理は、スペインは土着的で、その後、行ったイタリアは洗練されていて、日本に近いと感じました。

オリーブオイルでおいしく料理するなら、単品で調理して後で合わせます。日本も昔から単品が多いですよね。ほうれん草のおひたしとか、ふろふき大根とか。素材はひとつという料理。地中海でも同じです。

これは、材料ひとつひとつの味を引き出す、つまり食材をハッピーにしてあげるという考え方なんですね。オリーブオイルは素材の味を引き出してくれるので、調味料を入れなくても大丈夫なんですよ。オリーブオイルを使って毎日の食事をつくることで、体質も改善されます。

もうひとつ。「身体にいいから食べる」というのはやめて「おいしいから食べる!」にしてほしい。子どもは、おいしくなければ食べないでしょう?

そのためにオリーブオイルとハーブをぜひ活用していただきたいですね。

『おいしい処方箋 オリーブオイル・レシピ』
北村光世著 横山淳一監修
世界文化社
定価 1,620円(税込)

◇百菜元気新聞の2018年3月1日号の記事を転載しました。