イタリア在住のフードライター、鈴木奈保子です。今回は、少しずつ春めいてきたこの季節にぴったりなミントの日の話題です。2000年にカネボウフーズ株式会社(現クラシエフーズ株式会社)が、ミ(3)ント(10)の語呂合わせ、そして3月がフレッシュであることに由来して制定したミントの日。今回はミントの日にちなんで、ミントを使った伝統的なイタリア料理の「トリッパ」のレシピをご紹介します。

おうちでらくらくベランダ栽培!どの種類のミントを選ぶ?

3月になってようやく少し春めいてきました。私の住むローマでも郊外へ一歩足を延ばすと、あちこちに野の花が咲き始め、春の訪れを実感できます。草むらの上を歩くと、どこからともなく清涼感のあふれる爽やかな香りがただよってくることも。香りの主は、自生している野生のミントです。

繁殖力が旺盛なことでも知られているミントは、家庭でもベランダで簡単に栽培できます。種から育てることもできますが、新鮮なミントの枝を水にさしておくだけで、自然に根が生えてくるほど生命力が旺盛です。

逆に、他の種類と交配してしまうことがよくあるので、必ず鉢植えで栽培しましょう。

ミントと言っても、ペパーミント、スペアミント、アップルミント、パイナップルミントと、たくさんの種類があります。

優しい香りのスペアミントは、お菓子作りに適しています。葉っぱが丸みを帯びた形をしているペパーミントは、香りが強く殺菌効果も強力です。アップルミントの香りはミントティーに最適です。

植える前に香りを試して、好きな種類を選びましょう。一鉢あると、いろいろ使えてとっても便利なハーブです。

ミントの殺菌・消臭効果がローマ伝統内臓料理に最適

イタリア料理のレシピの中で、ミントを使った料理で有名なのが、意外にもトリッパという牛の内臓を使った伝統的な料理です。すでに下ゆでして売られている牛の胃袋には、ミントまで一緒に梱包してあるくらい大切な材料です。

こってりと濃厚な牛の胃袋とミントの香りの清涼感がよく合います。また、ミントに多く含まれているメントールという成分が殺菌・消臭効果に優れているので、内臓独特の強烈な匂いを消し、衛生的に保つのに役立っているのです。日本で内臓料理にショウガを使うのと同じような理由ですね。

ローマ風トリッパの作り方

【材料】(4人分)
・牛の胃袋(ハチノス、ミノ、センマイ) 300グラム
・タマネギ 1/2個
・人参(小) 1/2本
・セロリ 1/2本
・トマト水煮缶 400グラム
・パルミジャーノチーズ、またはペコリーノチーズ(羊乳のチーズ) 60グラム
・ミントの葉 5~6枚
・塩、唐辛子、エキストラヴァージンオリーブオイル 適量

【作り方】

  1. 牛の胃袋をよく洗い、1cm幅、3cm長さに切って、たっぷりの湯でゆでる。生の場合は5時間ぐらいかけてしっかりゆでる。すでにゆでてある場合は、10分位ゆでて臭みをとり、水気を切る。
  2. タマネギ、人参、セロリはみじん切りにする。鍋にオリーブオイルを大さじ1杯くらい入れたところに、みじん切りの野菜を加え少し炒め、牛の胃袋も加え10分ほど弱火で炒める。好みで、少し唐辛子を加えてもよい。
  3. 鍋にトマトの水煮缶のトマトをつぶしながら缶汁ごと加え、蓋をして1時間くらい弱火で煮込む。
  4. 食べてみて牛の胃袋が柔らかくなっていたら、ミントの葉、塩を加えて味を見て、軽く煮る。
  5. お皿に持って、食べる直前にチーズをかけて、いただきます!

ミントの葉はフレッシュでも乾燥でも万能なハーブ

牛の内臓というちょっと特殊な料理は別にしても、イタリア料理では他にもミントを使った美味しいレシピがたくさんあります。日本でも最近見かけるようになったアーティチョークやナスなどのアクの強い野菜には、ミントの葉との相性がピッタリです。一枚加えるだけで、ミントの爽快感が料理にアクセントをもたらします。

また、揚げ物の衣にミントの葉を刻んで加えると、揚げ物の脂っこさがミントの清涼感で緩和されるうえに、実際に、消化を促す働きもあります。

フレッシュなミントの葉を乾燥させれば、おしゃれなハーブティーが簡単に作れます。消化促進を促すハーブとしてイタリアでは定番のミントティー。ちょっと食べすぎたという時は、寝る前に飲むと胃がすっきりして効果抜群です。

繁殖力旺盛なミントは、お日様に当たる場所でたっぷり水をやれば、どんどん勝手に大きくなってくれる便利なハーブです。ミントの葉をちょっと指でこするだけで、すっきりした春の香りを楽しめます。ミントの日をきっかけに、ぜひ、気軽に育ててみてください。