沖縄県民に親しまれている、アメリカ生まれの炭酸飲料「ルートビア」。元々は薬の代わりとして開発された健康的なドリンクですが、その湿布薬のような独特な風味が苦手という人も。それならば、コーラ煮ならぬルートビア煮を作ってみてはいかがでしょうか。

ルートビアってどんな飲み物?

以前、「宮古そば&ルートビア! 意外に合う?宮古空港の名物」でもご紹介しましたが、沖縄県内にあるファストフード店「A&W」や「Jef」では、「ルートビア」と呼ばれるドリンクが提供されています。

ビア、と言ってもノンアルコールの炭酸飲料で、バニラや桜などの樹皮、リコリス(甘草の一種)の根、サルサパリラ(ユリ科の植物)の根、ナツメグ、アニス、糖蜜などのブレンドで作られています。植物の根(英語でroot)の成分が使われているので、”ルート”ビアというわけですね。

一見するとコーラのような茶褐色の炭酸飲料ですが、明らかに違うのはその香り。漢方薬のような独特な香りで、よく「湿布薬」に例えられます。

バニラの甘い風味とともにハーブの清涼感を感じ、意外にすっきりとした味わい。元々は薬の代用品として開発されたという背景もあり、カフェインレス、保存料無添加、ノンアルコールの自然派ドリンクなのです。

アメリカを中心に世界各国で愛飲されていますが、一方で、やはり苦手、飲めない、という人も多いドリンクです。

コーラ煮ならぬ、ルートビア煮のすすめ

ルートビアは苦手だけど、お土産にもらってしまってどうしよう…というときにおすすめなのが、今回ご紹介するレシピ。鶏や豚のかたまり肉を、ルートビアで煮てしまおう、というものです。

コーラ煮というのは聞いたことがあると思いますが、それと同様にルートビアでお肉を煮込む料理です。ルートビアには砂糖やハーブ類が含まれているので、実はお肉との相性はぴったり。しかも炭酸の成分がお肉を軟らかくしてくれるのです。あまっているルートビアがあるなら、使わない手はありません。

今回はラフテーなどにも使われる、皮付きの豚三枚肉ブロックを使用します。沖縄県では三枚肉が手に入りやすいですが、無ければ他の部位でも大丈夫です。ある程度、脂肪があるほうが、仕上がりにコクが出てとろっと美味しくなりますよ。

適当な大きさに切り分けた豚肉の上から、ルートビアを注いでいきます。湿布薬のような独特の風味が漂いますが、ひるまず大胆に。豚肉がかぶる程度まで注ぎましょう。

大根などの野菜を一緒に入れてもOK。お好みでにんにくとしょうがも入れたら、いよいよ煮込んでいきます。圧力鍋を使用する場合は、加圧が始まったら弱火にして約20分。普通の鍋の場合は、落とし蓋をして約40〜50分煮込みます。時々、煮込み具合を確認してくださいね。

魯肉飯のような奥深い味わいに変身

最後にしょうゆを回し入れて味を調え、ひと煮立ちさせたらできあがりです。

鍋のふたを開けると、かすかにふわっとルートビア独特の香りを感じるものの、それが香り高いハーブのようで、なんとも美味しそうに大変身してくれるのです。

お肉の照りもばっちり。大根にもよく煮汁が染み込んでいます。

食べてみると、とろっと軟らかく煮込まれた豚肉に、甘い煮汁が絡んでお箸が止まらない美味しさ! 三枚肉のこってりとした甘い脂が、ルートビア独特の清涼感で食べやすくなっています。

コーラ煮と比較すると甘さは控えめで、ハーブ類のおかげで奥深い味わい。台湾の名物「魯肉飯(ルーローファン)」にも似ているので、細かく切ってごはんにのせ、丼にしても。余った煮汁にゆでたまごを漬け込んでおけば、味付け玉子も作れますね。

このレシピなら、そのままルートビアを飲むのは苦手という方でも、きっと美味しく食べられると思います。是非、お試しあれ。