時は寛政2年(1790年)–。大阪や神戸に通じる木津川の船着場であり、大和・伊賀街道の交差地だった山城国上狛(現・木津川市)に福井伊右衛門が茶商を創業。福寿園が産声を上げた瞬間だ。「次の100年のためのスペース」と田村由文CHA遊学パーク長が話すように、創業から200年の節目に、「CHA研究センター」を開設。独自の研究施設としては日本茶メーカー屈指の規模と設備を誇る。

石臼でひいて抹茶を飲む体験も

同センターをベースにして、お茶の製造や茶道のマナーを体験できるスクールや、「世界の茶研究室」などの展示や体験設備を拡充し、2014年には“CHA”を遊びながら学べる施設「福寿園CHA遊学パーク」が生まれた。

茶を“CHA”と表記するのは、Culture(文化)、Health(健康)、Amenity(快適)を創造するティーライフ創造企業を目指す決意から。

年間約5000人が来場する。京都の文化に触れたいとインバウンドも年々増える。

福寿園CHA遊学パークは、茶を通じて「人と人」「人と文化」「文化と文化」の出合いの場を目指し開設された

「最近は、中国の観光客から『日本ではなぜ老舗と呼ばれる企業が生き残れるのか?』など、より深く日本を知ろうとする質問が増えた」(同パーク長)

体験を通じて“CHA”への理解を深められるのが、同施設の特色。予約制で、碾茶を石臼でひいて、その場で抹茶を飲む「石臼体験」(税別1200円)や、煎茶をほうじ茶にする「ほうじ茶づくり体験」(同2000円)など多数の魅力的なプログラムが用意されている。

また、今年秋から予約なしでも自由見学が可能となった。最後に軽い菓子とお茶が付いて500円(税別)となる。

『日本ではなぜ老舗と呼ばれる企業が生き残れるのか?』多くの外国人観光客が興味を持つという質問の答えは、同社が取り組む「伝統と革新、二兎を追う経営」を具現化し続けるCHA遊学パークそのものにあるのかもしれない。

世界中を回って集めたティーグッズや食器などをテーブルセッティングして展示。英国、ロシア、アラビア、中国、チベットと5つのブースに分かれている。予約すれば実際にお茶を飲むこともできる(写真はチベットブース)

◇日本食糧新聞の2017年12月18日号の記事を転載しました。