カレー風味のジャガイモを生地で包み、油の中へ。揚げたてを一口頬張ると、ジャガイモと一緒に炒められた玉ねぎの甘みとカレーの風味が口いっぱいに広がります。この料理の名前はサモサ。インド全土で食べられている揚げ物のご紹介です。

インドで長距離列車の旅

窓がガタガタ長距離列車、冬は寒くて夏は暑い

“キーッ”

鉄の擦れる甲高い音と共に、首都ニューデリー行きの列車は急停止した。

外はまだ真っ暗で何も見えない。

予定ではとっくに着いているはずなのに、インドの長距離列車が遅れることは日常茶飯事でイライラしても仕方ない。

ようやく、列車が動き出し太陽が昇ってくると人も駅も活発に動きだす。

停車駅ごとに押し寄せる乗客や物売りは、貧富の差が広がり続けるインドの現実を見ているようだ。

貧富の差は車両ごとにも現れ、熾烈な座席争いが繰り広げられるのは一番安いセカンドクラスという車両で、外国人旅行客のほとんどはこの車両を避け指定席のある車両に乗り込むのだ。

それなのに、僕はセカンドクラスに飛び乗った。体臭とほこり臭さが充満しているこの車両には、それぞれの目的地へ向かうインド人で溢れかえっていた。

インドにある駅の風景。お腹が強ければ、インドの水も無料で飲める

その場の空気感を包み込むサモサの味

溢れかえる乗客の中、駅の物売りの1人にサモサを注文すると、山盛りにされたバケツの中から1つを手渡ししてくれた。

サモサを一口頬張ると、カレーの風味が口の中いっぱいに広がった。辛さはほとんどない。

カリッとではなくガリっと、揚げ過ぎなくらい揚げられたサモサの生地は、食べ物を腐らせないためのひとつの知恵なのだろうか。ふつう、揚げ物は揚げたてが美味しいに決まってる。

それなのにサモサは別だ。何時間も前に揚げられているはずなのに美味しく感じるのは、カレーの風味と共にその場の空気感も包み込んでいる料理だからなのかもしれない。

秋の行楽シーズン、お弁当箱に詰めて召し上がれ。

餃子の皮を使ってサモサを作る、簡単レシピ

<材料>

ジャガイモ 2個
玉ねぎ 1/4個
カレー粉 小さじ1
塩、油 適量
餃子の皮(大きいサイズ) 1袋

<作り方>

  1. ジャガイモを茹でる。玉ねぎは粗みじん切りにする。
  2. 鍋に油をひいて、玉ねぎが半透明になるまで炒める。
  3. ジャガイモを加えて崩しながら炒める。
  4. カレー粉を加え、塩で味を調える。
  5. 餃子の皮で4を包み、適量の油で揚げる。

 

冷めても美味しいサモサは、いろいろな包み方に個性が光ります。ぜひ、親子で作ってみてください。一緒に作っている空気感もプラスされ、一段と美味しくなりますよ。