煮干しスープを自慢にするラーメン「丸め」の名脇役は、米酢と煮干しを合わせた「にぼ酢」。米酢100mlに対し煮干しを3本、1週間漬け込んだ卓上調味料である。つけ麺、冷やし麺のアクセントとして、メニューが提供された後、客が好みで追加調味に使っている。

米酢のツンを丸くする煮干し風味

「ラーメンにコショウが欠かせないように、つけ麺には酢が必須。でも、酢のツンとする刺激が苦手な客も多い。煮干しを漬けると刺激が丸くなり、煮干しの風味が絶妙に引き立ちます」と丸目精一店主。

「つけ麺のスープは、うま味とコクの層を重ねた魚介系Wスープが主流。アクセントに米酢だけでは芸がないので、つけ麺らしいひと工夫を加えました。味に層を重ねた“にぼ酢”を足すと、より深みある複雑な味わいに仕上がります」と説く。また、応用活用について「あえ物やサラダなど冷菜の隠し味にも最適だと思います」と語る。

ラーメン業界は、つけ麺の人気が全盛。最近の有名店は、ほとんどがつけ麺を売り物に掲げている。同店でも夏場「つけ麺7割:ラーメン3割」、冬場「つけ麺5割:ラーメン5割」の売れ行きだという。

「つけ麺人気は一時的かと思われましたが、完全に定着しました。それどころか、いまやラーメンをしのぐ勢いにあります。卓上調味料の酢も今後いろいろな工夫が出てくるでしょう」と丸目店主。「にぼ酢」はその先駆けとして参考になろう。

●店舗情報
「丸め 新所沢店」
所在地=埼玉県所沢市緑町1-21-25 新所沢駅ビルEmio1階

◇外食レストラン新聞の2017年10月2日号の記事を転載しました。