コメ消費減が加速化する中、近畿圏有力コメ卸は、新事業領域へ積極的に進出し始めた。切り口はやはり“コメ”で、中でも健康食や美容食として注目される「玄米」や「もち麦ごはん」などに着目し、新タイプの商品を誕生させている。

腹持ちがよくダイエットにも最適なもち麦

幸南食糧は、精米だけでなく、加工食品や炊飯も展開し、コメ加工では、グループ会社で炊飯事業を展開する一方、昨年12月に「食品開発加工センター」を設立し、加工食品の開発・製造に参入した。近畿大学と共同開発した健康米「金賞健康米」の「おかゆ」や、機能性表示食品「ギャバおかゆ革命」を製造・販売するほか、小ロットからOEM生産も受託している。

そこで今秋、民間市場調査で女性の「試したいスーパーフード」ランキング1位に輝いた「もち麦」を使った「shi meal(シミール)」シリーズを新発売。レンジアップだけの手軽さに加え、腹持ちがよくダイエットにも最適な、新しいご飯商品だ。

「shi meal」シリーズのカラフルなパッケージ

北海道産生クリームの深いコクが生きた「クリームシチューinもち麦ごはん」、イタリアの母の味「ミラノ風ミネストローネinもち麦ごはん」、濃厚バターが香る「リゾット風明太子バターinもち麦」、野菜のだし汁で煮込んだ「生姜もち麦がゆ」、しっとり上品な甘さの「鳴門金時芋のもち麦がゆ」の5品。

特徴は、ご飯の食べ応えともち麦のヘルシーさの両立に加え、電子レンジで簡単に調理でき、朝ご飯やランチに最適。外観も重視し、クリームシチューはクリーム色、ミネストローネは赤、明太子バターはピンク、生姜もち麦がゆは黄色、鳴門金時のオレンジ色と、カラフルで女性の目を引く。

レトルト商品でチルド棚での販売を想定するが、常温保管も可能だという。

冷めても硬くなりにくい玄米配合もちもちパン

幸福米穀は、玄米を配合したパンやグラノーラなど、コメを基軸にした食品加工に注力している。順調な玄米グラノーラのほか、独自ノウハウで開発した玄米パン専門店「CoCoBAKERY」を立ち上げ、現在、直営4店舗を展開する。店名は異なるがFCも2店舗がオープンしている。

商品は、もちもち、ふわふわした食感と冷めても硬くなりにくいことを重視し、小麦粉に玄米を絶妙の割合で練り込み、手間暇かかるパン生地の製造は工場で一括生産し、チルドの状態で店舗に直送している。技術や経営のバックアップ体制も万全とするなど、素人でも取り組みやすいビジネスモデルを構築している。

もちもちふわふわ食感が特徴の玄米パン

アイテム数が多いのも特徴で、売場に常時80~100品が並び、菓子パンや惣菜パンで1個当たり80~130円、食パンで150~180円と、リテールベーカリーの中では低めの価格設定と相まって、一般的な店舗の約3~4倍の売上げとなっている。

同店で開発した「こだい米バンズ」使用のハンバーガーシリーズが、外食大手フジオフードシステムの新業態「駅前パーラー」の一部店舗で採用。店内にあるポスターやメニューに「創業43年、米殻専門店の幸福米穀と駅前パーラーがコラボして作り上げた『こだい米バンズ』使用!」と表示している。

◇日本食糧新聞の2017年9月25日号の記事を転載しました。