原料米の逼迫(ひっぱく)、高値と日本のコメビジネスは試練を迎えている。だが、発想を変え、コメが持つ健康性や加工適性を生かした新ビジネスも生まれている。業務用原料として注目される、多収穫米の新トレンドと併せて紹介する。

ワインや日本酒に合う一口サイズの「おにぎりプチ」シリーズ

ファッションの街・原宿のラフォーレ原宿2階フードエリアにある「onigiri stand Gyu!」は、「おにぎり×カフェ×バー」がコンセプトの、常識を覆す新スタイルの手作りおにぎり専門店。

はやりのファッションに身を包んだ女の子たちが「かわいい」と立ち止まるショーウインドーには、ドーム型の透明ケースに入ってスイーツと見まがう「おにぎりプチ」シリーズや、キャビアやフォアグラ、和牛など厳選食材を使った「超高級おにぎり」、ウメやサケなど定番具材の「トラディショナルおにぎり」など、よりどりみどり。

中でも、ワインや日本酒に合う一口サイズ「おにぎりプチ」シリーズは、スモークサーモンを花形にあしらった「サーモン&トビコ」、ご飯の周囲を抹茶パウダーでまぶし、絞ったクリームチーズを載せた「抹茶」のほか、売れ筋1位の「ローストビーフ」、女子に人気の「エビパクチー」など8種類をラインアップ。

定番具材や玄米を使ったヘルシーおにぎりで構成される「トラディショナルおにぎり」9種類のほか、日替わりや月替わりおにぎりも揃えている。

白を基調にしたおしゃれな店内

店舗にはイートインコーナーを併設し、夜はワインや日本酒を飲みながら、昼はランチセットで味噌汁やおかずを付けて、ティータイムには、スイーツおにぎりをコーヒーとともに。一日中楽しめるほか、ホームパーティーの手土産やちょっとしたプレゼントにと、多様な用途に使えるメリットもある。

同店は、日本の伝統食おにぎりの魅力を伝える「おにぎり協会」のプロデュースで、「Tokyo Onigiri Labo」が運営する。

関克紀副社長は「コメと塩、海苔だけのシンプルなおにぎりも美味だが、この店のメニュー展開が表しているように、あらゆる食材を受け入れる懐の深さが何より魅力」とする。さらに「おにぎりと原宿の関係」については「一見ミスマッチのようだが、世界中の観光客やマスコミが集まるこの街から、おにぎりを通して日本の食文化を発信したい」と強調する。

関副社長は、おにぎりのコミュニケーションツールとしての側面にも着目し「母が作った初めての幼稚園での弁当にもおにぎりが入っていた。自分が親の世代になった今、子どもに食べさせたいという思いで、可能な限り国産食材を使用し、余計な添加物は使っていない」と、商品に対する愛情を示す。

同社では、オフィス街・秋葉原のOLをターゲットに、ヘルシーや低カロリーを打ち出した、テークアウト専門店「オニギリベントウGyu!」も出店し、好評を得ている。

◇日本食糧新聞の2017年9月25日号の記事を転載しました。