秋の味覚と日本酒のマリアージュを楽しみましょう【10月1日は、日本酒の日】
こんにちは!日本酒学講師の大越智華子です。暑さ寒さも彼岸までの言葉通り、日に日に涼しさも増し過ごしやすくなってきましたね。早いものでもう10月。秋本番を迎えます。
日本酒造中央会が10月1日を「日本酒の日」と定めたのは昭和53(1978)年のこと。今年で39年目を迎えます。
10月は「醸成月」!日本酒には区切りの大切な月
10月は和名で「神無月」と呼ばれます。豊穣に感謝をして、宮中や神社では新嘗祭、村では秋祭りが行われ、人々は神と酒を酌み交わしましたが、一説によると「醸成月(かもなしづき)」とも云われるそうです。
晩夏に収穫された新米で新酒を醸す月のはじまりとして“醸す”ことが始まるという意味を持ちます。そう、10月は日本酒にとっては区切りとなる大切な月にあたるのです。
秋刀魚には純米酒がおすすめ
秋の美しい彩りが日本列島を覆う季節。食卓には、海の幸、山の幸ともに秋ならではの旨み豊かな食材が並びますね。
秋の風情と味覚は日本酒の味わいをより引き立てます。夏の日差しをたっぷり浴びた栄養豊かな農作物は、日本酒の旨みとよく合います。
脂ののった秋のカツオや秋刀魚は、アミノ酸豊富な日本酒の旨みとの相乗効果で、すばらしいマリアージュを楽しませてくれます。私のおすすめは純米酒を常温またはややぬる燗くらいで。冷やしすぎる日本酒よりも、より旨みを感じることができます。
また、お魚の産地と日本酒の産地を合わせても楽しいでしょう。五穀豊穣と大漁追福に感謝をして稲のお酒をいただく。まさに自然の醍醐味を味わう秋です。
中秋の名月を愛で、月見酒を愉しむ秋の夜長・・・
お月見のはじまりは、古くは平安時代、貴族たちの間で雅楽や和歌を楽しみながらお酒をいただく宴だったとされます。室町時代には、月に農作物やお酒をお供えしてお祈りする形に変わります。江戸時代頃には平民にもお月見の宴が広まり、芋やお団子をお供えし、日本酒を楽しむ現代の様式に変化したそう。
旧暦8月15日は中秋の名月。今年は10月4日にあたります。空気が澄んでお月さまがきれいに見えるこの頃。日本酒と宇宙をつなぐロマンティックな秋の夜長に、美しい月を愛でながら日本酒を一献、捧げてみませんか。
日本酒と干支10番目の「酉」には深い関係があります
昭和39酒造年度まで、日本酒の酒造年度は「10月1日から」と定められていました。稲穂が実って収穫された10月から酒を造り始めるところが多く、蔵元では10月1日を「酒造元旦」として祝う風習があったことなどに由来しています。こうした経緯から昭和53年、日本酒造中央会が10月1日を「日本酒の日」としました。
干支で10番目は「酉」ですが、「酉」は古代に酒などを発酵させた容器を表す象形文字で「酒壷」を意味しているのです。それに水を表すサンズイがついて、「酒」という字になりました。
さらに、お酒に関する漢字をみてみると…、酌、酔、酩、醪、醸など「酉」が共通しています。お酒と干支の10番目「酉」の不思議な関係ですね!
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