自宅でできる燻製料理をご紹介する第3回目。今回は、いろいろなお料理に手軽に使える「燻製調味料」をご紹介します。これさえあれば、簡単に燻製の風味を楽しむことができる優れものです!
燻製料理といえば、もちろん食材を直接燻煙して作るのが当たり前なのですが、急なお客様で下準備する時間がない…鍋を出してきて燻製するのが面倒…と思うときにも燻製調味料を作っておけば、お料理や飲み物にさっとひと振りするだけで、簡単に燻製風味に早変わりさせることができるのです。

その1:燻製調味料は手軽に燻製を楽しむ魔法!

燻製料理を初めて作るという方は、まず燻製料理の基礎知識と、必要な道具についてわかる前回の記事「燻製のプロが伝授、ナッツでできる初めての燻製料理」を事前にお読みいただくとよいと思います。

調味料といってもさまざまな種類があります。今回はその中でも、私が「この調味料は燻製との相性がいい」と思って、日頃から常備している5種類をご紹介します。さらに、こんな料理におすすめ!という使い方もご紹介します。

みなさんも、想像をめぐらせて、いろいろな使い方、調味料にチャレンジしてみてくださいね。

これさえあれば便利!簡単に燻製風味を楽しみましょう。

私がおすすめする燻製調味料5種

燻製ブラックペッパー(ホール)
ホールで燻製しておき、使う時に挽いて使います。
おすすめの使い方は「ポークステーキ」。おいしい豚肉をお好みの味付けでソテーし、食べる前に燻製ブラックペッパーをかけます。燻製の香りと共に豚肉の味わいが口の中に広がります。
私は、飲み物にも使っています。ハイボールに燻製ブラックペッパーを入れれば「スパイシーハイボール」という大人のハイボールになります。

燻製オリーブオイル
おすすめは「パスタ」と「サラダ」。「パスタ」はトマトやクリームはなくペペロンチーノや和風のようなシンプルな味付けのものに、最後に燻製オリーブオイルをかけるのがおすすめです。「サラダ」にはドレッシングの材料として燻製オリーブオイルを使います。シンプルに燻製オリーブオイルと塩だけでもいいですし、お好みのドレッシングに少し燻製オリーブオイルを加えてもよいでしょう。

燻製醤油
醤油は、いろいろなものにかけておいしい、とても万能な調味料ですね。燻製にした醤油も実にいろいろな物に使うことができます。おすすめは「冷奴」と「たまご」です。「冷奴」は燻製醤油に加えて、あとでご紹介する燻製ゴマ、燻製一味も一緒にかけると味わい深くなります。「たまご」は後ほどご紹介します「燻製たまごかけご飯」に使うと、今までにない味わいで絶品です!

燻製ゴマ
燻製することでゴマに熱が加わっていりゴマのような香ばしさがプラスされます。私はシンプルな「わかめスープ」に入れるのがお気に入りです。そして、燻製ゴマは、そのままおつまみとして食べてもおいしいです。

燻製一味
一味は、燻製すると味わいがまろやかになります。「冷たいお蕎麦」や「冷奴」にかけるのがおすすめです。「冷たい蕎麦」を食べる時には、つゆではなく蕎麦に燻製一味を振りかけます。

サラダには「燻製オリーブオイル」をかけるだけで!

その2:燻製調味料を使う時の注意点と保存方法

燻製の調味料を作ると、いろいろなものに使いたくなりますね。ただしせっかくの燻製風味を十分に楽しむために、使い方のポイントがあります。

★燻製調味料は熱に弱いので、使う時は最後に!
すべての調味料に言えるのが、「熱を加えると燻製風味は消えてしまう」ということです。
例えば、燻製醤油を鶏肉の下味として使い、チキンソテーを作ったとしても燻製の風味はほとんど感じることができません。また、パスタを炒める時のオイルとして燻製オリーブオイルを使っても、燻製の香りはなくなってしまうのです。
したがって【燻製調味料は、調理の最後に仕上げとして使う】ということがポイントなのです。

★保存のポイント
私が行っているレッスンの生徒さんから「燻製した調味料はどのくらいもちますか?」という質問をよく受けます。「基本的にはそれぞれの調味料の消費期限に準じた期間と考えてください。ただし燻製の風味は、だんだん抜けていきます。」とお答えしています。燻製した後は、なるべく密閉した容器に入れて保存するのが長持ちさせるコツです。

その3:燻製調味料の作り方

最後に、燻製調味料の作り方です。基本的な流れは、以前ご紹介した燻製ナッツと同じですので、ここでは調味料ごとに、作る時に注意するポイントをお伝えしようと思います。

そして最後に、燻製醤油を使った「燻製たまごかけご飯」の作り方もご紹介しちゃいます! 普通のたまごかけご飯のように生卵に燻製醤油をかけるだけでも風味は楽しめますが、この方法で作るたまごかけご飯はまさに絶品! 燻製醤油を作ったら、ぜひお試しいただきたいメニューです。

燻製調味料の作り方(共通)

※チップとピートの量、時間の詳細は下記<作る時のポイント>をご覧ください。

<準備>
・燻製鍋(イージースモーカー)にアルミホイルを敷き、スモークチップとピートを入れます。
・調味料を容器に入れます。

<燻煙>
・燻製鍋を強火にかけ、煙が出てきたら中弱火にし、材料を網の上にのせ、加熱します。
・保温器に移動し、保温します。

燻製オリーブオイル

<作る時のポイント>
・燻製鍋:イージースモーカー(サーモス社製)
※保温器がセットになっていて、火にかける時間が短くてOK。セラミック製なので丈夫で、すぐ洗えて取り扱いも楽。

・チップ:ウイスキー樽のチップ
※ウイスキーの熟成(貯蔵)に30年以上使用したウイスキーの香り高いスモークチップ。どんな食材にも合うのでおすすめ

・ピート(泥炭):湿原に植物の遺骸が分解されず蓄積された可燃性の「泥炭」、「草炭」。シダやコケ類、灌木、ヘザーなどが堆積してつくられます(約千年で15cm堆積というスローペース)。
※燻製にコクをプラスしたい時に使用します。パウダー状で販売されています。

燻製ブラックペッパー、ゴマ、一味
容器:耐熱容器または、アルミホイルで作った入れ物。
※アルミホイルで簡単な入れ物は、洗わずそのまま捨てることができて後処理が楽です。
チップ:大さじ2
ピート:小さじ1
熱燻:5分→保温:10分
★ポイント:表面が強く燻製されますので、熱燻が終わったら一瞬フタを開けて全体をかき混ぜましょう。※フタを開けた時の煙に注意!

燻製オリーブオイル
容器:耐熱容器
チップ:小さじ2
熱燻:3分→保温:3分
★ポイント:きれいな色に仕上げるためにピートは使わず、ゴミを取るために冷めたら茶こしで漉しましょう。

燻製醤油
容器:耐熱容器
チップ:小さじ2
ピート:小さじ1
熱燻:3分→保温:3分
★ポイント:冷めると表面に膜がはります。茶こしで漉しましょう。

絶品!燻製たまごかけご飯

燻製たまごかけご飯の作り方

<材料>
・生卵
・燻製醤油
・ご飯(玄米がおすすめ)

<作り方>
・生卵は黄身だけにします。
・容器に燻製醤油を入れてその中に静かに黄身を沈め、漬け込みます。
・冷蔵庫に6時間(前後1時間)入れると黄身が固まります。
・ご飯の上に、漬けた卵の黄身をのせて出来上がり。