オタフクソースは7月18日、静岡県磐田市の種苗メーカーの増田採種場と共同で、お好み焼きに合うキャベツを開発したことを発表した。広島県内の農事組合法人や農業生産法人の協力を得て安定供給を目指す。

一般的に、夏場に流通するキャベツは糖度が低く苦みが強いことから、お好み焼き店の中には、甘みの強い玉ネギスライスを混ぜたり、うまみを含む天かすを多く入れたりするなど工夫をしている。こうした背景から同社は、焼き方を変えなくてもおいしいお好み焼きを作ることができる新しいキャベツ品種を開発することとなった。

12年から、“夏場でも甘いキャベツ”を目標とした「ひろしまキャベツプロジェクト」をスタートさせ、増田採種場とともに、新品種の開発に着手。12年の第1回から16年の第7回に至るまで、標高350~1300mまでの異なる農場で試験栽培に取組み、安定した品質での収穫が可能となった。

開発された新しいキャベツは、糖度と水分のバランスに注目し、春・夏・秋・冬のそれぞれの時期に収穫する、四季に対応した品種になっている。同社では、同社の社名とお好み焼き店や生産者、消費者など全員に“福が来る”ように「ふっくるキャベツ」の名称でシリーズ化していく方針だ。

今回発表された品種は、5~8月まで取れる品種「なつおこ」で、糖度のバラツキがなく、1玉が大きく葉が詰まっていて取り除く芯も少ないことから可食部が多く歩留まりの良さが特徴。生食でも甘みを感じることができる上、お好み焼きに入れると糖度がさらに増し、おいしくできあがる。

このほか、10~12月まで取れる「あきおこ」、1~3月まで取れる「ふゆおこ」、2~4月まで取れる「はるおこ」と、季節ごとに栽培する品種が変わる。今後、県内での生産、流通体制を整え、県産キャベツのブランド化を図っていく方針だ。

◇日本食糧新聞の2017年7月26日号の記事を転載しました。