独自のロングライフチルド製法(現「おいしさ長持ち製法」)により、出来たてのような素材の食感や風味が楽しめるマルハニチロの「至福の一皿」シリーズ。そのコアコンセプトをロングライフチルド事業推進室事業推進課の大和田耕司課長は、“毎日が誰かのアニバーサリー”と表現する。今春の発売以降、配荷状況は計画通り順調。今後も夏・秋と新商品を投入し、売場定着と活性化を図る。大和田氏と開発担当の茶木貴光課長役(農学博士)に話を聞いた。

当社がロングライフチルド事業に参入した大きな契機は、12年にフランス国内ナンバーワン食品メーカーのフローリ・ミション社と結んだ技術提携だった。15年4月、新設した宇都宮の工場で生産する「ロングライフチルド」シリーズ3品から本格参入したが、その後は苦戦が続き、抜本的な見直しを図ることになった。

そして今春、新たに「至福の一皿」シリーズとして10品を提案した。大きな特徴は、前作同様に保存料を使わず、冷蔵庫で45日間の賞味期限を実現したトレー入りタイプであること。前作と異なるポイントとして、上質な洋食または“世界の人気メニュー”を食卓で楽しめること。この2点により、ロングライフチルド洋食惣菜というニッチ市場でリーダーを狙う。

開発に当たり重視したのは徹底したブランド戦略。そのコンセプトやポリシーを明確化し、上質さを表現するキーワードとして“毎日が誰かのアニバーサリー”“プチ贅沢”などを開発の方向性とした。またマーケティングの基本『4P(プロダクト、プライス、プロモーション、プレイス)』にプラスPとしてパッケージを加え、より総合的な商品提案とした。

例えばトレーの横幅を18cmに縮小し、売場で3尺2段の棚に対して5アイテム×2段が収まるようにした。デザインは過剰な説明を排し、おいしさを伝えることを重視した。色合いはオリエント急行をほうふつとさせる深い蒼を基調に、主食・主菜・スープ類でそれぞれ分別、ゴージャス感を演出している。

 

◇日本食糧新聞の2017年6月26日号の記事を転載しました。