埼玉県在住のコーヒーコーディネーター、碓氷あげはと申します。喫茶店で飲むようなおいしいコーヒーが、自宅で飲めたらいいなぁ…と思うこと、ありませんか? きちんとした手順で淹れたドリップコーヒーは、これがいつものコーヒー? とびっくりしてしまうほどおいしいんです。
淹れる前に押さえておきたいポイントを理解すれば、普段から買っているレギュラーコーヒーでもおいしく飲むことができますよ。

コーヒーをおいしく淹れるには水から!

コーヒーの味わいを左右する要素はいくつかありますが、コーヒー豆と同じくらい重要なポイントが水です。硬水や軟水を使うかでも味わいに変化が出るのですが、一般のご家庭では水道水(軟水)が多いかと思います。

水道水が持つカルキ臭は煮沸すると軽減されるので、やかんに空気を含ませるように勢いよく水道水を淹れて、10分間沸騰させるといいでしょう。朝一番に行う場合は、少し出しっぱなしにしてから使うのがおすすめです。

ただ、長時間沸かしたままにしたり、冷めてから再度煮沸させたりした水は、空気が飛んでしまっているので使えません。加えて、古い水道管や瞬間湯沸かし器の水は鉄分が多く含まれている可能性があり、コーヒーの味や色が悪くなるため、使えないことを覚えておいてください。

コーヒーの味わいには温度が大きく関係している

ホットコーヒーの飲み頃の温度は、一般的に60度Cだと言われています。つまり、口に運ぶときにはこの温度になっていればいいということですね。

抽出する器具にもよりますが、92度Cから96度Cの湯で抽出しておくとちょうど飲み頃になります(ネルドリップは80度C前後)。湯温が高すぎると雑味が出て渋く感じますし、ぬるすぎるとコクが出ず風味が弱くなってしまうので注意しましょう。


コーヒーを淹れる前にカップを温めておくことも大切です。おいしいと感じる温度を保つために、湯でカップ(あればソーサー)を温めておきましょう。上部分が薄く、下部分が厚くなっているコーヒーカップを使うと、より冷めにくくなりますよ。

コーヒーを淹れるときは蒸らしを忘れないように

おいしいコーヒーを飲みたいなら、絶対に押さえておきたいポイントが蒸らしです。蒸らしとは、少量(20ccほど)の湯を粉全体へ充分に行き渡るように小さく円を描きながら注ぎ、20秒ほど待つ工程のこと。蒸らすことによって粉が湯となじみ、次に注いだときにはコーヒーのおいしさを充分に引き出せるようになっています。

蒸らし完了の目安は、滴がぽたぽたと落ち始めたらOKです。逆に、その状態で放置していると風味がどんどん損なわれますので、蒸らしを始めたら最後まで目を離さないようにしてください。

おいしいコーヒーの淹れ方に挑戦!

大まかなポイントがわかったところで、実際にコーヒーを淹れてみましょう。用意するものは、好きなコーヒー(中細挽き)、ペーパーフィルター、ドリッパー、サーバー、やかん(あれば細口のもの)、メジャースプーン、コーヒーカップです。水道水の煮沸やカップの温めは事前にしておいてくださいね。粉の量は、1人前10gから12gです。


まずはドリッパーにフィルターをセットするのですが、フィルターの底部分を外側に折り、側面部分を内側に折っておきましょう。次に、コーヒーの粉をスプーンで入れてからドリッパーを揺らすなどして粉の表面を平らにします。こうすることでドリッパーにぴったりフィットし、湯が均等に行き渡りやすくなるため、味わいが安定します。

湯温が95度C前後の目安は、沸騰させたときの表面の大きな泡が落ち着いたとき。この状態になったらそっと20ccの湯を注いで蒸らします。蒸らし終わったら、粉の中心に「の」の字を描くように140ccの湯を3回、徐々に湯量を減らしながら注いでください。注ぐ量と落ちる量が同じになるとベストです。

湯を注ぎ終わると細かい泡が見られると思いますが、実はこれ、コーヒーのアクなんですね。落ちきるまで待ってしまうと、雑味のあるコーヒーができてしまうので、全部落ちる前に捨ててください。あとは温めておいたカップに、抽出したコーヒーを注げば終わりです。

味わいの変化がハンドドリップの醍醐味

基本的な淹れ方を紹介しましたが、どれも自宅で実践できるものばかりです。コーヒーは繊細な飲み物なので、些細なことで味わいが変化します。淹れ方に性格が現れる、なんていわれるくらいです。

とは言え、自宅に細口のポットやメジャースプーンがない家だってありますよね。紹介したポイントを押さえておけば、適当に淹れるよりはおいしく淹れられますので、ぜひ試してみてください。