石川県金沢市のお隣にある河北郡在住の北陸家庭料理研究家・大象みかです。石川県の2017年のカニ漁の解禁日は11月6日です。石川県民はズワイガニより安くて小さい、香箱ガニを好んで買います。カニの切り方(さばき方)は、最初は難しく感じますね。そこで今回は、さばき方を解説します。また、カニの酢醤油、ポン酢、だし醤油などでの味わい方を紹介します。

香箱ガニはズワイガニの雌

皆さんは「ズワイガニ」はよく聞くかもしれませんが、「香箱ガニって何だろう?」と思うかもしれません。ズワイガニの雌のことを石川県では「香箱ガニ」と呼びます。写真は、茹でる前の香箱ガニです。

香箱ガニは「赤い宝石箱」とも言われるほどで、お腹にある外子と、甲羅の中にある内子、カニみそを味わうことができます。白い身は甘くてコクがあり、この時期のカニはプリプリしていて、何度も食べたくなりますね。

北陸新幹線が開業して有名になった、「金沢おでん」のカニ面に使われているのが、香箱ガニです。カニ面には香箱ガニが丸ごと1杯使われています。

さて、家庭でカニを食べる時に困ることが、さばき方ですね。初めてカニを買った方や、贈り物でいただいたけれど、どうしてよいか分からないこともあるでしょう。そういう方のために香箱ガニのさばき方を解説します。

金沢生まれ、金沢育ちの母が香箱ガニをさばいてみます。香箱ガニは茹でた状態で売られていることもありますが、今回は家で茹でて、身をほぐします。酢醤油・ポン酢・だし醤油などを使って、香箱ガニの味わい方も紹介します。

香箱ガニのさばき方を解説!!

1.たっぷりの水を鍋に入れ、沸騰してから塩を少々入れます。蓋をして20分間カニを茹でます。

2.ざるに上げて、30分ほど冷まします。冷めてからカニを切ります。包丁は普通の文化包丁を用意してください。

3.カニの足を胴から1つ目の関節を残して、手で折ります。足先は捨てます。

4.足と手を包丁で胴から切り離します。

5.胴を裏返しにして、腹側の下にある三角形の部分(前かけ、ふんどしと言います)を外して捨て、外子の部分を取り外します。

6.カニの甲羅を思い切って手で開けます。

7.カニの口の部分から指を入れて押し出し、内子を外します。

8.胴のお腹の部分についている、灰色のえらを外して捨てます。(この部分は食べません)

9.お腹の部分を縦に半分に手で割ります。

10.内子とカニみそを外して、甲羅に盛り付けます。

11.外子も白い長い部分を取り除いて捨て、甲羅に盛り付けます。

12.胴の部分は、真ん中から包丁を入れて、半分に切ります。

13.足は白い軟らかい部分から包丁を入れて切ります。(オレンジ色の部分は硬いので注意してください。)

14.皿に盛り付けて出来上がりです。

香箱ガニのむき方

カニの身のほぐし方は、胴の部分は、足側から真ん中へ向けて箸を入れると、スッとむけます。カニの身は、ほぐしやすい方の反対側はほぐしにくいですが、箸で丁寧に身をほぐすのがコツです。

足は細い方から箸を入れてほぐすと綺麗に身が取れます。

箸でむきにくい方は、カニフォークを使っても良いでしょう。

香箱ガニの味わい方!

我が家では香箱ガニを食べる時には、茹でたほうれん草を付け合わせにします。コクのあるカニを食べながら、付け合わせのほうれん草を交互に食べると、シャキシャキ感も味わえます。

まず、何もつけずに香箱ガニを口に入れると、優しい甘みとプリプリした食感を感じます。とろけるような内子のまろやかさと、外子のプチプチとした歯触りもたまりません。カニみそも濃厚で、クリーミーな舌触りを楽しめます。

酢醤油で食べるのが定番で、酢の酸味と香箱ガニの甘さがよく合っていて、さっぱりと食べることができます。酢醤油につけたほうれん草も、爽やかな味わいです。

ポン酢につけて食べるのもお勧めです。酢の酸味が苦手な方は、ポン酢の方が食べやすいかもしれません。柑橘類の香りと香箱ガニのコクのある味も相性が抜群です。

我が家は父が減塩しているので、だし醤油も用意してあります。だし汁と減塩醤油、濃口醤油を4:1:1の割合で醤油を薄めてあります。

だし醤油をつけて香箱ガニを食べると、だしの風味がきいていて、まろやかな味わいになりました。煮干し・鰹節・昆布の風味が加わると、カニの味に深みが出てきます。香箱ガニは何をつけるかによって、味の変化も楽しむことができますね。

冬ならではの味覚を味わってみましょう!

石川県の香箱ガニ漁は、今年は12月29日までです。雄のズワイガニは、翌年の3月20日までです。寒い季節しか味わえない北陸の味を、ぜひ、金沢へお越しの際は味わってみてください。