味の素大阪支社は7月6日、大阪市中央区のホテルニューオータニ大阪で「17年秋季味の素グループ施策提案会」を開催し、「健康」を大きなテーマにグループ各社が新商品やレシピなどの多彩な栄養改善提案、ソリューション提案に力を入れた

目標や夢に向かって頑張る人を食から応援

地域貢献や社会的な課題の解決(社会価値)で、新たな収益やビジネスチャンス(経済価値)を創出することで共通価値の拡大を目指すことを、「ASV(味の素グループ・シェアド・バリュー)」と名付け推進。

その一環として同提案会では「豊かな人生の基盤となる『健康』に対して、どういう提案をしていけるかが最大のテーマ」(前川信介大阪支社長)と、塩分や糖分など過剰に摂取しがちな栄養を抑制し、不足しがちな野菜やタンパク質を補う2本柱でアプローチ。同社グループの多彩な商品群を活用し「勝ち飯」「ラブベジ」「減塩」など具体的なレシピ提案でASVの実現を目指す。

会場導入部で大きく提案したのが「勝ち飯」。同提案は、同社のアミノ酸の技術を活用してオリンピック選手を「食と栄養」面からサポートする「ビクトリープロジェクト」の経験やノウハウを応用し、部活動などのスポーツのみならず、受験、ダイエットなど目標や夢に向かって頑張る人を食から応援するもの。

スポーツに取り組む層などには「クックドゥ回鍋肉」や「同香味ペースト」を活用した肉と野菜を使った中華メニューなどを、受験生には「ほんだし」や「味の素コンソメ」を利用した温かい汁ものといった、シーンごとのきめ細やかな提案が、来場者の注目を集めていた。

「勝ち飯」アンバサダーを務める元競泳日本代表の松田丈志氏を招いてのトークショーで、「トレーニングは限界まで行っているので、オリンピックに向けてやれることは食事に気を付けることだった。食の改善は目標達成のために効率がいい方法。“勝ち飯”は特別なものではなく、日常の食材をどう生かしてどう食べるか、うまく組み合わせること。目的を持って食事を取ることが大事」と自らの経験を交えて語った。

「『健康』に対してどういう提案ができるかが最大のテーマ」(前川信介支社長=右から2人目)と、多彩な製品群を駆使した具体的な栄養改善策を来場者に紹介

1日当たり350g以上の野菜摂取をサポートする「ラブベジ」では、活動の一環として京都女子大学家政学部にレシピ考案を依頼。「鍋キューブ鶏だし・うま塩」を使用した「ふわとろ山芋のあったか鍋」など8つのレシピのほか、野菜芸人として知られる土肥ポン太さん考案のものも含め、さまざまなチャネルを通じて発信する。

大阪支社独自の取り組み「AJI“パン”」ブースにも多くの人だかりができていた。関西・中四国はパンの消費量が多く、高齢者が朝食をご飯からパンに切り替える傾向もあることから、カロリー65%カットの「ピュアセレクトコクうま」を使ったサンドイッチやトースト、低カロリーのパルスイートを使ったフレンチトーストなどヘルシーメニューを紹介。若手社員からの発案で始まった、SNSでの広報活動も紹介し、フォトジェニックなビジュアルと相まって、関心を集めている様子がうかがえた。

このほか、味の素AGF、味の素冷凍食品、J-オイルミルズ、ヤマキ、日本ケロッグのグループ各社もブースを並べ、味の素冷凍食品は香りと具を楽しむ中華飯店の味「香炒飯」、J-オイルミルズは「バターフレーバーオイル」「オリーブ&レモンフレーバーオイル」など、それぞれの新商品を中心にアピールした。

当日は、近畿中四国の卸・量販店・外食など幅広い業界関係者ら約620人が来場した。

受験生や部活生も応援

味の素社は、2017年秋季の家庭用新製品5品種とリニューアル品32品種の8月7日からの市場投入を機に、肉と野菜の摂取総量、料理を共に作り共に食べる機会のそれぞれを増やす健康栄養と共食への貢献に力を注ぐ。

11月に「和食フェア」、18年1月に「受験生応援!」、2月に「部活生応援!」、2~3月に「日本代表選手応援!」と四つのテーマを掲げ、目的に向かって頑張る生活者の体づくり・栄養摂取を支えるおいしい献立を同社製品などで提案する「勝ち飯」の売場提案を進める。

同社では、日本オリンピック委員会とのオリンピック日本代表選手強化支援事業「ビクトリープロジェクト」で進めてきた栄養実践プログラム「勝ち飯」から得たノウハウの活用を、生活者の健康栄養の貢献活動へ広げており、「勝ち飯」の売場提案もその一環という位置付け。

1日に東京・品川のホテルで開いた商談会で、関係者に提案した同社リニューアル品・新製品による「受験生応援!」の”勝ち飯”売場

同社は、国際的な対応が求められているESG(環境・社会・企業統治)目標に対応する味の素グループの共通目標の社会の目標に対しては健康栄養を掲げ“肉と野菜の摂取総量を増やす”との非財務目標の達成を、今年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画で目指している。食品事業本部家庭用事業部は「勝ち飯」の店舗施策の展開数を内部目標に掲げ、健康栄養と共食への貢献を「勝ち飯」の売場提案によって進めている。

総合スーパーや食品スーパーなどの売場へ提案する「和食フェア」では、リニューアルによって厚めに切った大根でも現行品を上回る味染み感・軟らかい食感に仕上げるようにした合わせ調味料「CookDoきょうの大皿〈豚バラ大根用〉」や既存品の和風だしの素「ほんだし」などでタンパク質と野菜、汁物を取る“栄養バランスごはん”の献立提案を推進する。

「日本代表選手応援!」では、日本代表選手の「勝ち飯」による食事の献立を公開、リニューアルによって素材の風味を生かす和風の味を強化した鍋の素「鍋キューブ〈寄せ鍋しょうゆ〉」や既存品の肉用調味料「お肉やわらかの素」などを訴求する。

2017年秋季のリニューアル品は、醤油原料を変更して同社独自素材を配合した「鍋キューブ〈寄せ鍋しょうゆ〉」のほか、新ブランドロゴの採用でパッケージデザインを刷新した「CookDoきょうの大皿」全14品種、同社独自製法によって鶏だし本来の香り・風味を向上させた「丸鶏がらスープ」全5品種、「パルスイート」など。

新製品の5品種は、「鍋キューブ〈10種の野菜だし鍋〉」(72g)、「クノール カップスーププレミアム〈ブイヤベーススープ トマト仕立て〉」(42.9g)、「クノール スープDELI〈デミグラスソースのブラウンシチュー パスタ入り〉」(42.9g)、「同〈ブイヤベーススープ トマト仕立て〉」(22.7g)、「味の素KK おかゆ〈スーパー大麦がゆ 鶏とホタテのだし仕立て〉」(250g)で構成する。

学生と連携し「ラブベジ」に注力

味の素名古屋支社は7月7日、味の素グループ6社の秋季施策商談会を名古屋市西区のウェスティンナゴヤキャッスルで開催。愛知・岐阜・三重・静岡の取引先450人が来場した。

ASV(Ajinomoto Group Shared Value)、地域への貢献、生活者への貢献を中心とした提案を行う中、今回も特に「ラブベジ」プロジェクトの提案に注力した。「ラブベジ」は、東海エリアの野菜摂取量の増加を図るため、15年10月に地元の椙山女学園大学管理栄養学科の学生と連携して発足した。

第1弾は学生が考案した献立レシピを、スーパーの店頭や同社レシピサイトを通じて発信。第2弾では、料理研究家とJAグループ愛知の協力でレシピを考案し、地元飲食店とのコラボレーションなども行ってきた。

今回も「ラブベジ」の提案を強化する

第3弾では名古屋のNPO団体「ママのホンネ研究所」(ママ研)と協力し、旬な野菜を使った献立とレシピを考案したが、今回の第4弾でもママ研と連携を図っている。加えて、ウェスティンナゴヤキャッスルの料理長と野菜がたっぷり取れる、和洋中のメーンのおかずとなる「おかずスープ」を考案。10月から小売店の店頭や同社レシピサイトで発信していく。

この日、会場ではママ研、ウェスティンナゴヤキャッスルと考案した6種類の汁物メニューの試食が行われた。和食メニューでは、大根を平麺状に削り、長ネギや鶏肉を具材にした「みそ煮込みきしめん」、洋風メニューでは、白菜を中心に野菜が300g以上摂取できる「白菜ごろっと! クリームスープ」、中華風メニューでは簡単に調理できる「参鶏湯スープ」などのおかずスープを提案。

白菜や大根は秋冬が旬の野菜で家庭での消費量が高くなるが、鍋料理以外のレパートリーが少なかったり、家庭内在庫を抱えたりする課題もある。そんな課題を解決する「ラブベジメニュー」は特に来場者の関心を集めた。

名古屋支社の直近(17年4~6月)売上げは前年比1.6%増で推移。家庭用が前年比2.7%増で、特にカップスープ16%増、マヨネーズ3%増と好調。愛知・岐阜産の卵を使用し、三重で製造されている「ピュアセレクトマヨネーズ」については、新たな使い方「マヨネー術」を提案し、着実に東海地区でのシェアを伸ばしている。

なかしまゆみさんが野菜摂取を促進するマヨネーズ料理を提案

味の素九州支社は7月14日、ホテルニューオータニ博多で、「2017年秋季味の素グループ施策商談会」を開催し、九州地区の卸、量販店のトップ、実務者の流通関係者らが多数来場した。

会場では恒例の味の素グループとしての展示で、味の素冷凍食品、味の素AGF、ヤマキ、Jオイルミルズ、日本ケロッグなど同社が持つ幅広い商材の新製品、改定品の数々が紹介された。

テーマは「勝ち飯」「野菜が摂れる!」「お肉が摂れる!」「旬を味わう」「買上げ点数UP」で、生活者、流通業者を含めて食卓、店頭で活性化できる提案内容となった。特に「勝ち飯」ではアスリートだけでなく、頑張っている皆を応援するという定義を広げ、各テーマごとにフェア陳列例を提案した。

17年秋季味の素グループ九州支社施策商談会

今回も地域密着を基本に、「食べんね!九州和ごはん」と題して、九州の食材、九州の味付けの提案を行った。「ほんだし」を使用した「豚バラと白菜の重ね鍋」や「シャキシャキれんこん団子のみそ汁」「ほんだし焼きあごだし」を使用した「あごだし香るお雑煮」などが紹介された。

新商品として健康を基軸とした10種の野菜のうまみが詰まった鍋つゆの素「鍋キューブ」や腸内環境を整える「スーパー大麦がゆ」のほかに、アッパー商材として「カップスーププレミアム(ブイヤベース)」が新登場した。

九州独自企画として「第6回野菜ソムリエアワード全国大会」で金賞を受賞した福岡市在住のなかしまゆみさんが野菜摂取を促進するマヨネーズ料理を提案した。

田原貴之九州支社長は基本方針として「主としてマヨネーズやその他の既存商品を多様な提案で活性化させたい」と述べた。業績は4~6月で家庭用で前年比ヨコバイ、業務用で3%増となった。昨年同時期、熊本地震による特需が発生したが前年並みを確保した」とした。

なかしまゆみさん

◇日本食糧新聞の2017年7月21日号、2017年7月26日号の記事を転載しました。