DRYな乾物で世界をもっとPEACEに!–という思いからユニットで活動する、DRYandPEACEのサカイ優佳子さんと田平恵美さんは、乾物を使った料理教室や講座を各地で開催している。

近年では乾物を家庭備蓄に取り入れる方法を広めるため、乾物防災食講座を開催。今回、ローリングストックを実現するための乾物レシピがオンラインで学べるビデオ講座を制作し、その第1弾「簡単レシピでローリングストックvol.1」をリリースした。講座では50を超える乾物レシピを4回に分けて紹介。もしもの時、どのように乾物を生かしたら良いかが分かる内容になっている。

DRYandPEACEのサカイ優佳子さん(左)と田平恵美さん

サカイさんと田平さんは東日本大震災の時、計画停電が実施され冷蔵庫が使えないにもかかわらず、生鮮食品が売り切れて日常食品が不足する中、乾物はいつもと変わらず店に並んでいることに衝撃を受けたという。それをきっかけに現代のライフスタイルに合った乾物の活用法の研究、発信をスタート。乾物に関する著書は7冊、7万9300部を発行。

乾物について常温で保存でき賞味期限が半年以上あるため、家庭備蓄に取り入れることによってローリングストックが実現しやすくなると提案する。ローリングストックとは、備蓄しているものを食べたらまた加えていくことで「回転備蓄」とも呼ばれている。

乾物は食品ロスの削減、省エネ、もしもの時の備えにもなり、さらには時短料理を実現する未来食でもあると話す。「乾物は時間がかかる、面倒くさそうと思われがちだが、実は多くは20分で戻る。すでに切ってあるため生ゴミも出ず、包丁なしの調理も可能だ。

幅広い料理に展開できる上にさまざまな食材があり、被災すれば食事が炭水化物に偏りがちな中、栄養バランスを補完するのにも向いている」と説明する。

災害時だけでなく平常時も乾物をおいしく食べる

今回リリースの「簡単レシピでローリングストックvol.1」では、和洋中、エスニックなどを取り混ぜて、単品のおかずや一皿ごはん、スイーツなど全14品の乾物レシピを紹介。どのような乾物が災害時に使いやすいのか、加熱しないで食べられる乾物はどのようなものがあるのか、といった内容がワークを含めて理解できる内容となっている。

乾物を和食だけのものとしてはもったいないとし、例えば切り干し大根は煮物だけでなくグラタンや炒め物、サラダにといろいろな料理に使うことで、ローリングストックが可能になる。また、買ったはいいが、いつの間に賞味期限が切れてしまうといった家庭備蓄ならではの悩みも、乾物なら解消できると指摘する。

講座で紹介した「しょうが風味の干し柿のリゾット」「わかめとタコのガリシア風」「ひじきのフリッタータ」の3品が揃えば白ワインが飲みたくなるとサカイさん。乾物料理とお酒のマリアージュを提案する。

講座の最後、サカイさんと田平さんは「普段から乾物を使いこなすことは、食の防災訓練にもなる。日々の暮らしに乾物を取り入れて、平常時も災害時もおいしく手軽な料理を作ることで、環境にも家計にも優しい暮らしにつながっていく」と呼び掛ける。

◇日本食糧新聞の2021年3月29日号の記事を転載しました。